高金利通貨の状況を動画で解説

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高金利通貨「メキシコペソ・南アフリカランド・トルコリラ」の状況をギュッと要約

高金利通貨の年初来パフォーマンス

高金利通貨3通貨の年初来パフォーマンスでは、メキシコペソが現在3位、南アフリカランドが7位で6位の円に迫っています。一方、トルコリラは12通貨中12位と最下位の低迷が続いています。上位にいるドルとも大きく引き離されている状況です。
7月においては各通貨の動きが改善しており、メキシコペソがトップスタート、ランドも5位スタート、トルコリラも円より強いという展開となっています。これは各通貨が特に強いわけではなく、円安の恩恵で高金利通貨が安定している状況と考えられます。

メキシコペソの堅調な推移

メキシコペソは6月が3位、年間でも3位、7月はトップスタートと堅調な推移を見せています。メキシコ株式市場のボルサ指数は15%高となっており、日本株がマイナス圏にある中で対照的な強さを示しています。10年国債利回りも9%の高水準を維持しており、資金流入が続いています。
トランプ関税で最も影響を受けるとされていたメキシコですが、USMCAに加盟しているため関税率は比較的低く抑えられる見通しです。また、アメリカが安価な部品調達先としてメキシコに依存している現実もあり、メキシコが見直されています。
格付け会社フィッチは、メキシコが景気後退に陥る可能性があるものの、その規模は当初予想より小さくなるとの見通しを発表し、これがペソの安定要因となっています。経済指標では消費者信頼感指数や製造業PMIがあまり強くない状況ですが、長期的なインフレ低下傾向と景気配慮により金融政策は緩和的に運営されています。
懸念材料としては、メキシコからアメリカへの移民による郷里送金が徐々に減少していることです。さらに、アメリカが送金への課税を検討しており、当初の5%から1%への妥協案が浮上しています。それでも、USMCAによる関税軽減効果と、トランプ政権との建設的な交渉により比較的良好な結果が得られています。

南アフリカランドの資源価格支援

南アフリカランドはボラティリティが高いものの、資源価格の上昇に支えられています。金・銀・パラジウムが年初来25%程度上昇する中、白金は50%以上の大幅上昇を記録しており、これらがランドを下支えしています。
政治面では、アメリカとの関係が悪化しており、トランプ政権から30%の関税を課すと通告されました。また、BRICS会議における反米政策への賛同国に対して10%の追加関税を課すとの発言もあり、7月はメキシコペソより強くスタートしたものの、現在は5位まで後退しています。
内政では連立政権を組んでいますが、第2党の民主同盟(DA)が閣僚人事をめぐって不満を表明するなど摩擦が生じています。ただし、GNU(国民統一政府)の枠組みでは、批判はあっても連立離脱はしないという安定性があり、これが政治的安定を保っています。

トルコリラの政治的混乱と低迷

トルコリラは今年対円で約17%下落しており、スワップ金利をほぼ相殺する厳しい状況が続いています。メディア報道規制により表面化していませんが、国内では相当な政治的混乱が続いています。
イマモール・イスタンブール市長が逮捕され、さらに同市長が所属するCHP(共和人民党)の野党党首も厳しい発言をしただけで逮捕される可能性があるなど、政治的弾圧が強化されています。

外為マーケットビュー
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

野村雅道
野村雅道氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。

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