
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年9月22日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
目次
▼19日(金)の為替相場
(1):日本CPI 予想通りの結果
(2):日銀政策金利据え置きも反対が2名
(3):英小売売上高 予想を上回る伸び
(4):植田総裁 利上げの時期は言及せず
(5):ミランFRB理事「政策金利を迅速に引き下げるべき」
▼19日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:レンジ相場続く/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
19日(金)の為替相場

期間:19日(金)午前6時10分~20日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本CPI 予想通りの結果
日本8月消費者物価指数(CPI)は日銀が注目するコアベース(生鮮食品を除いたCPI)で前年比+2.7%と、政府による電気・ガス料金の補助などを背景に3カ月連続で伸びが鈍化。予想通りの結果だったこともあって市場の反応は限られた。
(2):日銀政策金利据え置きも反対が2名
日銀は大方の予想通りに政策金利を0.50%に据え置くと発表。一方で、過去に買い入れた上場投信(ETF)・不動産投信(J-REIT)を売却する方針を決定した。政策金利の据え置きに2名の審議委員が反対し、0.75%への利上げを主張していたことから、早ければ10月にも追加利上げが行われるとの見方が浮上。ETF売却のショックも相まって株価が急落する中、円が全面的に上昇した。
(3):英小売売上高 予想を上回る伸び
英8月小売売上高は前月比+0.5%と市場予想(+0.4%)を上回った。変動の大きい自動車燃料を除いた売上高も前月比+0.8%と市場予想(+0.7%)を上回った。
(4):植田総裁 利上げの時期は言及せず
日銀の植田総裁は金融政策決定会合後の会見で「経済・物価の改善に応じて政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整していく」としつつも、米国の関税措置の影響について「これから一段と出てくる可能性がある中で、景気に対する下振れリスク、それを通じた物価に対する下振れリスクも意識しないといけない」との見解を示した。その上で「米国や各国の通商政策の日本経済への影響をめぐる不確実性が高い中で、もう少しデータを見たいという局面だ」と述べ、慎重に政策を判断していく姿勢を強調した。また、ETFの売却については「単純に計算すれば(終了まで)100年以上かかる」と説明。植田総裁が利上げの時期などについて具体的に言及しなかったことから円は売り戻された。
(5):ミランFRB理事「政策金利を迅速に引き下げるべき」
米連邦準備制度理事会(FRB)のミラン理事は「中立金利をこれほど大きく上回っているということは、金融政策がかなり引き締め的であり、金融政策がその水準にとどまる期間が長くなるほど、雇用創出目標が達成できなくなるリスクが高まる」などと発言。政策金利を迅速に中立水準まで引き下げるべきとの考えを強調した。なお、ミラン理事は就任直後に参加した連邦公開市場委員会(FOMC)で50bp(0.50%ポイント)の大幅利下げを主張し、政策金利見通しでは年内さらに100bpの予測を示した。また、そうした大幅利下げの主張についてミラン氏は、自身を指名したトランプ大統領から「特定の行動を求められなかった」として影響を否定した。