レバレッジとは? 意味から主要な投資手法まで、危険性も含めて徹底解説

「レバレッジ」という言葉を投資の世界でよく耳にするけれど、その意味を正しく理解できていますか? 「少額で大きな利益が出せる」という魅力的な響きの裏には、知っておくべき危険性も潜んでいます。

この記事では、投資初心者の方にも分かりやすく、レバレッジの基本的な意味から、資産形成を加速させるメリット、そして失敗しないためのデメリットや危険性まで解説します。

この記事でわかること
  • レバレッジとは少ない資金で大きな取引ができる「てこの原理」の仕組み
  • 資金効率を高め大きな利益を狙えるが、自己資金以上の損失を出す危険性
  • FX・信用取引・不動産投資での活用法と、失敗しないためのリスク管理

目次

  1. そもそもレバレッジとは?「てこ」の原理で基本を理解しよう
  2. 資産形成を加速させるレバレッジのメリット
  3. レバレッジの危険性とデメリット
  4. レバレッジを活用できる代表的な金融商品・投資
  5. レバレッジと賢く付き合うためのリスク管理術
  6. まとめ

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そもそもレバレッジとは?「てこ」の原理で基本を理解しよう

レバレッジを使った投資は、しばしば「ハイリスク・ハイリターン」と表現されます。まずは、その仕組みの根本である「レバレッジ」という言葉の意味と、金融における基本的な定義を理解することが重要です。

レバレッジの意味と金融における定義

レバレッジとは、英語で「Lever(てこ)」の作用、すなわち「てこの原理」を意味します。小さな力で重いものを動かす「てこ」のように、金融の世界では「少ない自己資金を使って、それよりもはるかに大きな金額の取引を行う仕組み」を指します。

投資における自己資金は、取引を行うための担保として預け入れることから「証拠金」と呼ばれることが一般的です。この証拠金を担保にすることで、その何倍、何十倍もの規模の取引が可能になります。例えば、10万円の証拠金で10倍のレバレッジをかければ、100万円分の取引ができる、というのが基本的な意味です。

レバレッジ効果の基本

レバレッジの意味を理解したところで、次に「レバレッジ効果」について見ていきましょう。これは、レバレッジをかけることによって、自己資金(証拠金)に対する利益率が飛躍的に高まる効果を指します。

レバレッジなし(現物取引)
  自己資金10万円で、10万円分の金融商品を購入。
  価格が10%上昇し、11万円になりました。
  利益:1万円(11万円 - 10万円)
  自己資金に対する利益率:10%(1万円 ÷ 10万円)

レバレッジ10倍
  自己資金10万円を証拠金として、10倍のレバレッジをかけ、100万円分の金融商品を購入。
  価格が10%上昇し、110万円になりました。
  利益:10万円(110万円 - 100万円)
  自己資金に対する利益率:100%(10万円 ÷ 10万円)

このように、同じ価格変動でも、レバレッジをかけることで自己資金に対するリターンが10倍になっていることが分かります。これがレバレッジ効果の最大の魅力です。

資産形成を加速させるレバレッジのメリット

レバレッジの基本的な意味がわかると、その強力なメリットが見えてきます。なぜ多くの投資家がレバレッジを活用するのか、その主な理由を3つの側面に分けて解説します。

メリット①:資金効率が飛躍的に向上する

レバレッジの最大のメリットは、前述の「レバレッジ効果」で見たとおり、資金効率が飛躍的に向上する点です。手元の資金が少なくても、それを元手に大きな利益を狙うことができます。

例えば、100万円の自己資金がある場合、レバレッジを使わなければ100万円分の投資しかできません。しかし、レバレッジを3倍かければ300万円分、10倍かければ1,000万円分の取引が可能になります。

もし投資対象が順調に値上がりすれば、得られる利益額はレバレッジをかけない場合の3倍、10倍となります。短期間で効率よく資産を増やしたいと考える投資家にとって、この資金効率の高さは非常に大きなメリットと言えるでしょう。

メリット②:自己資金以上の大きな規模の取引ができる

2つ目のメリットは、資金効率とも関連しますが、自己資金以上の大きな規模の取引が可能になる点です。これは、投資対象の選択肢を広げることにもつながります。

例えば、FXや不動産投資は、本来であれば大きな資金が必要となる投資です。FXでレバレッジなし(1倍)で米ドル/円を1万通貨(約150万円 ※1ドル150円の場合)取引しようとすれば、150万円の自己資金が必要です。しかし、レバレッジ25倍なら、その25分の1の6万円の証拠金で同じ規模の取引が可能です。

また、数千万円する投資用不動産も、自己資金は頭金の一部(例えば物件価格の1~2割)だけで、残りをローンで賄うことが一般的です。これも広義のレバレッジであり、少額の自己資金で大きな資産を手に入れられるメリットがあります。

メリット③:下落相場でも利益を狙える

レバレッジを活用した取引手法の多くは、価格が上昇した時だけでなく、下落相場でも利益を狙えるというメリットがあります。

通常の「買い」は、安い時に買って高くなったら売ることで利益を出します。一方、「空売り」はその逆です。価格が高いと予想される時点で、証券会社などからその金融商品(例:株式や外貨)を借りて売ります。予想通り価格が下落した時点で、市場から安く買い戻します。

借りていた金融商品を返却し、売った時の価格と買い戻した時の価格の差額が利益となります。現物取引では「買い」からしか入れませんが、株式の「信用取引」や「FX」「CFD」など、レバレッジを伴う取引では、この「空売り」が可能です。

これにより、相場が上昇しても下落しても、どちらの局面でも収益機会を探れるという大きなメリットが生まれます。

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レバレッジの危険性とデメリット

レバレッジの意味を「資金効率を高めるもの」とポジティブな面だけで捉えていると、取り返しのつかない失敗を招く可能性があります。強力なメリットの裏には、同じくらい強力なデメリットが存在します。

デメリット①:損失も自己資金以上に拡大する

レバレッジの最大の危険性であり、最も注意すべきデメリットは、利益だけでなく損失も同様に拡大することです。

先ほどのレバレッジ効果の例を、今度は損失が出た場合で見てみましょう。

レバレッジなし(現物取引)
  自己資金10万円で、10万円分の金融商品を購入。
  価格が10%下落し、9万円になりました。
  損失:1万円(9万円 - 10万円)
  自己資金に対する損失率:10%(残高は9万円)

レバレッジ10倍
  自己資金10万円を証拠金として、100万円分の金融商品を購入。
  価格が10%下落し、90万円になりました。
  損失:10万円(90万円 - 100万円)
  自己資金に対する損失率:100%(残高は0円)

この例では、レバレッジ10倍の場合、わずか10%の価格下落で自己資金のすべてを失ってしまいました。さらに価格が下落した場合、預けた証拠金(自己資金)以上の損失が発生する可能性があります。

これが「追証(おいしょう)」と呼ばれるものです。損失が膨らみ、証拠金維持率(取引額に対する証拠金の割合)が一定水準を下回ると、追加で証拠金を入金するよう求められます。入金できなければ強制的に決済(強制ロスカット)され、それでも損失が残る場合は、借金として返済義務を負うことになります。これがレバレッジ取引の最大の危険性です。

デメリット②:金利や手数料などのコストが発生する

レバレッジをかけるという行為は、本質的には証券会社や金融機関からお金や金融商品を借りて取引することです。そのため、現物取引にはない特有のコストが発生します。

・株式信用取引
買い(信用買い)の場合は金利(日歩)、売り(空売り)の場合は貸株料や逆日歩が発生します。

・FX
通貨ペア間の金利差調整額である「スワップポイント」が、ポジションによっては支払い(マイナススワップ)になります。

・不動産投資
金融機関から借り入れたローンの「金利」を支払い続ける必要があります。

これらのコストは、ポジションを保有している(=レバレッジをかけている)期間が長くなるほど、日割りで蓄積していきます。短期的な利益を狙ったつもりが、予想に反して相場が動かず長期間ポジションを持ち続けると、これらのコストが利益を圧迫したり、損失をさらに拡大させたりするデメリットとなります。

レバレッジを活用できる代表的な金融商品・投資

レバレッジの意味やメリット・危険性を理解したところで、具体的にどのような金融商品や投資手法でレバレッジが活用されているのか、代表的な例をご紹介します。

信用取引

株式投資においてレバレッジをかける代表的な方法が「信用取引」です。証券会社に一定の担保(委託保証金、通常は30万円以上が必要)を預け入れることで、その約3.3倍までの金額の株式売買が可能になります。

資金を借りて株式を買うことを「信用買い」、株式を借りて売ることを「空売り(信用売り)」と呼びます。少ない資金で大きな取引ができるメリットや、下落相場で利益を狙える(空売り)メリットがありますが、株価が予想と反対に動けば、損失も3.3倍のスピードで膨らむ危険性があります。金利や貸株料といったコストも発生します。

FX

レバレッジと聞いて多くの方がイメージするのが「FX」かもしれません。FXは、米ドルと円、ユーロとドルなど、異なる2国間の通貨を売買し、その差益を狙う取引です。

最大の特色はレバレッジの高さにあり、日本の金融庁に登録されている国内業者では、個人の場合、最大25倍までのレバレッジをかけることが認められています。

例えば、1ドル150円の時に1万ドル(150万円分)の取引をするのに、レバレッジ25倍なら最低6万円の証拠金で済みます。非常に少額から始められる手軽さがメリットですが、その分、為替レートがわずかに不利な方向に動いただけでも、大きな損失につながる危険性をはらんでいます。

不動産投資ローン

意外に思われるかもしれませんが、「不動産投資」もレバレッジを活用する代表的な投資です。この場合、レバレッジの意味は「金融機関からの融資(不動産投資ローン)」を指します。

例えば、自己資金500万円の人が、4,500万円のローンを組んで合計5,000万円の投資用マンションを購入したとします。これは、自己資金500万円を元手に、10倍のレバレッジ(5,000万円 ÷ 500万円)をかけて不動産という資産を運用していることになります。

ローンの金利(例:年利2%)よりも、物件から得られる家賃収入の利回り(例:年利4%)が高ければ、その差額がレバレッジ効果による利益となります。ただし、空室リスクや家賃下落リスク、金利上昇リスクなど、不動産特有の危険性も考慮する必要があります。

その他の投資(先物取引、CFDなど)

ほかにもレバレッジを活用できる投資は多数あります。

・先物取引
日経225やTOPIXといった株価指数、金や原油といったコモディティなどを、将来の決められた期日に、現時点で決めた価格で売買することを約束する取引です。これも証拠金を用いて、その何十倍もの規模の取引が可能です。

・CFD
CFDは、日本語で「差金決済取引」と訳されます。株式、株価指数、商品など、あらゆる資産を対象に、実際にその資産を保有するのではなく、売買した時の価格差だけを決済する取引です。FXもCFDの一種と言えます。非常に高いレバレッジをかけられることが特徴ですが、その分危険性も極めて高くなります。

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レバレッジと賢く付き合うためのリスク管理術

レバレッジは、その意味を正しく理解し、危険性をコントロールできれば、資産形成の強力な武器となります。レバレッジと賢く付き合うために不可欠な、3つのリスク管理術を紹介します。

① レバレッジ比率(倍率)を低く抑える

レバレッジ取引の最大の危険性は、高いレバレッジによる損失の急拡大です。このリスクを抑える最も基本的かつ効果的な方法が、レバレッジ比率(倍率)を意図的に低く抑えることです。

例えば、FXの最大レバレッジは25倍ですが、常に25倍で取引する必要はまったくありません。証拠金10万円に対して、10万円分(レバレッジ1倍=現物と同じ)、あるいは30万円分(レバレッジ3倍)の取引に留めておくのです。

レバレッジを低く抑えるほど、価格が不利な方向に動いても強制ロスカットされにくくなり、相場の変動に耐えうる「体力」が持てます。特に初心者のうちは、2~3倍程度の低いレバレッジから始めることを強く推奨します。

② 損切りのルールを徹底する

レバレッジ取引において、感情的な判断は命取りです。「もう少し待てば価格が戻るかもしれない」という根拠のない期待が、損失を自己資金以上に膨らませる原因となります。

そこで重要なのが、「損切り」のルールを徹底することです。損切りとは、事前に「ここまで価格が下がったら(または上がったら)、潔く決済して損失を確定させる」というラインを決めておくことです。

例:「買値から2%下落したら、機械的に決済する」
例:「損失額が証拠金の10%に達したら、決済する」

多くの証券会社では、この損切りを自動的に執行する「逆指値注文(ストップ注文)」の機能が提供されています。感情を排し、システムとしてリスクを管理することが、レバレッジの危険性から身を守るために不可欠です。

③ 必ず余剰資金で投資を行う

これはレバレッジ取引に限らず、すべての投資における鉄則ですが、レバレッジをかける場合は特に重要です。投資に回すお金は、必ず「余剰資金」で行ってください。

余剰資金とは、当面の生活費(生活防衛資金として最低でも3ヶ月~1年分)や、近い将来に使う予定が決まっているお金(子どもの教育費、住宅購入の頭金など)を除いた、当面使うあてのないお金のことです。

最悪の場合、すべて失っても生活が破綻しない資金でなければ、冷静な投資判断はできません。生活費を切り詰めて投資に回したり、借金をしてレバレッジ取引を行ったりすることは、精神的なプレッシャーから損切りを遅らせ、②のルールを破る最大の要因となります。レバレッジの危険性を管理するためにも、資金管理がすべての土台となります。

まとめ

この記事では、「レバレッジ」という言葉の基本的な意味から、投資におけるメリット、そして忘れてはならない危険性やデメリットについて詳しく解説しました。

レバレッジは、うまく使えば資産形成を加速させる強力なツールですが、その意味と危険性を正しく理解せずに手を出すと、資産を増やすどころか大きな損失を被る「諸刃の剣」です。

もしレバレッジ取引に興味を持ったなら、まずはこの記事で学んだリスク管理術を徹底することを誓ってください。多くの証券会社が提供している、自己資金を使わずに練習できる「デモトレード」から始めてみるのも良い方法です。ご自身の投資目的とリスク許容度をしっかりと見極めた上で、レバレッジと賢く付き合っていきましょう。

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(提供:ACNコラム