不動産一括査定とは、オンライン上で複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスのことです。短時間で相場を把握できる利便性が魅力ですが、その一方でしつこい営業電話に悩まされたり情報漏洩のリスクがあったりと、デメリットもあります。
本コラムでは、不動産一括査定の基本からメリット・デメリット、よくあるトラブルの回避法までを解説し、安心して売却の第一歩を踏み出すための実践的なポイントをお伝えします。
不動産一括査定とは?
不動産一括査定とは、売却を検討している物件をオンライン上で複数の不動産会社に対して一括で査定を依頼できるサービスのことを指します。
従来であれば複数の不動産会社に足を運んだり、電話やメールで情報を提供したりする必要がありましたが、一括査定を利用すれば一度の入力で複数社から見積もりを受け取ることができます。そのため、効率的に相場を把握できるだけでなく、各社の査定根拠や提案内容を比較することで、自分の物件に最も適した売却戦略を検討しやすくなります。
不動産売却は誰にとっても大きなイベントであり、十分な情報を得て納得感を持って進めることは非常に重要です。その意味で、不動産一括査定は資産整理や売却の第一歩として、非常に有効な手段だといえるでしょう。
不動産一括査定でよくあるトラブル・デメリット
不動産一括査定は便利なサービスですが、利用する際にはいくつかの注意点やデメリットもあります。
効率よく相場を把握できる反面、複数の不動産会社と同時にやりとりを行うことになるため、思わぬ負担を感じることもあります。また、査定額やサービスの内容は会社ごとに大きく異なるため、情報の取り扱いについても気を付けるべき点があります。
ここでは実際に利用した際に起こりやすい典型的なトラブル・デメリットを4つ解説します。
しつこい営業電話がかかってくる
一括査定を利用すると、査定を依頼した複数の不動産会社から頻繁に営業電話がかかってくることがあります。
特に積極的に顧客を獲得しようとする会社からは短期間で何度も電話やメールが届き、日常生活に支障をきたすこともあります。初めての売却を考えている人にとっては、強い営業姿勢に戸惑ったり、断ること自体にストレスを感じたりすることも少なくありません。
そのため、不動産一括査定を利用する際には、連絡手段や対応の希望を事前に伝えることが重要です。
査定価格に大きな差が出る・過大な金額を提示される
不動産会社ごとに査定方法や重視するポイントが異なるため、提示される価格に数百万円単位の差が出ることも珍しくありません。なかには自社に契約を誘導する目的で、実際の相場よりも高めの査定額を提示する業者もあります。
こうした高額査定をそのまま信じて売却活動を始めると、現実的な成約価格をなかなか受け入れられず、売却期間が長期化するリスクもあります。
個人情報の取り扱いが不安
一括査定サービスを利用すると、氏名や連絡先、物件情報などの個人情報が複数の不動産会社に共有されます。
不動産売却は大きな取引であるため、比較検討をしながら進めるには一括査定サイトは非常に便利ですが、利用する一括査定サイトがどのように個人情報を扱っているかを各サイト運営会社のプライバシーポリシーで確認するようにしましょう。
地方では提携会社が限られる場合がある
売却予定の物件が都市部の場合には多くの不動産会社が参画しているため比較対象が豊富ですが、地方や特殊な物件では一括査定サイトの提携会社が限られることもあります。その結果、複数社から査定結果を提示されても数が少なく、さらに各社からの査定額に開きがあると相場を正しくつかみにくいこともあります。
こうした状況を避けるためには、複数の一括査定サービスを組み合わせて利用するのが有効です。より多くの査定結果を集めることで、売却方針を判断する際の参考材料が増え、安心して取引を進めることができるようになります。
不動産一括査定のメリット
不動産一括査定は、複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができる便利な仕組みであり、時間や手間を大幅に削減できる点が大きな魅力です。売却を検討する際にまず知っておきたい相場を効率よく把握できるだけでなく、複数社を比較することで信頼できるパートナーを選びやすくなります。さらに、提示された査定結果をもとに交渉を進めることで、売却条件を有利に整えることも可能です。
ここでは不動産一括査定を利用することで得られる、これらのメリットを具体的に解説します。
短時間で相場を把握できる
不動産の売却を検討するうえで、まず知っておきたいのは現在の市場価格です。しかし一社ずつ問い合わせをすると膨大な時間と労力がかかってしまいます。不動産一括査定を利用すれば、一度の入力で複数の会社から査定額を提示してもらえるため、短時間で効率的に相場を把握できます。
特に不動産投資初心者にとっては、根拠ある数値を比較しながら現実的な売却価格を把握できることが安心につながります。
複数社の不動産会社を簡単に比較検討できる
一括査定では、単に査定額を知るだけでなく、各社の対応姿勢や提案内容を同時に確認できる点も大きな利点です。同じ物件でも査定根拠や販売戦略は会社ごとに異なるため、やりとりを通じて信頼できる担当者を見極めることができます。
売却するまでには数ヵ月もの時間を要することもあるため、安心して任せられる会社を選ぶことが成功のカギとなります。一括査定は、その比較材料を効率よく集める手段として非常に有用です。
売却活動を有利に進められる
複数の査定結果を手にすることで、不動産会社に対して交渉材料を持つことができます。提示された条件や価格を比較しながら検討すれば、安易に一社の提案に依存せず、より有利な条件で契約を結ぶことが可能になります。
また、相場感を把握していることで、売却価格の設定にも自信を持てるようになり、結果的にスムーズで納得感のある売却活動につながります。
トラブルを避けるには?不動産一括査定でのポイント・注意点
不動産一括査定は便利なサービスですが、上手に活用しなければかえってトラブルや後悔につながる恐れがあります。安心して活用するためには、事前の準備や査定結果の受け止め方、そして個人情報の管理に注意することが大切です。
ここでは、安心して不動産一括査定を利用するための具体的なポイントを4つ解説します。
事前に自分で相場情報を調べておく
一括査定を利用する前に、自分で相場を調べておくことは相場観を見極めるうえで非常に有効です。基準を持たずに査定を受けると、高額提示に惑わされたり、低すぎる金額をそのまま信じてしまったりする恐れがあるからです。
国土交通省が提供する土地総合情報システムや、不動産ポータルサイトの売却事例を確認すれば、大まかな価格帯を把握することができます。事前に相場感を得ておき、提示された査定額の妥当性を冷静に判断できるようにしておくことが重要です。
査定額だけではなく査定の根拠を確認する
提示された査定額が高いのか低いのかを判断するためには、その理由を必ず確認することが欠かせません。
査定方法や周辺の取引事例、建物の状態や立地条件など、根拠が明確に説明される会社は信頼性が高いといえるでしょう。逆に、数字だけを強調して理由を曖昧にする会社は注意が必要です。
納得できる根拠を提示してくれる担当者を選び、安心して売却活動を進められるようにしましょう。
査定結果は参考値と割り切る
不動産査定の金額は、将来の売却価格を保証するものではなく、あくまで参考価格に過ぎません。実際の成約価格は景気動向や需要、買い手の属性など多くの要因に左右されます。
そのため、査定額を過信せず、ある程度の幅を持って考える姿勢が必要です。参考値として利用することで市場理解を深め、無理のない売却戦略を立てやすくなります。
個人情報の提供範囲を確認する
一括査定サービスを利用する際には、どの会社にどの範囲の個人情報が提供されるのかを事前に確認することをおすすめします。運営会社のプライバシーポリシーを確認し、安心できる仕組みが整っているかを見極めることが重要です。
信頼性の低いサイトを利用すると、不要な営業に悩まされる可能性もあるため、安心して利用できるかどうかを見極めてから申し込むようにしましょう。
査定額以外のポイントにも注意する
不動産会社を選ぶ際に重要なのは、必ずしも価格だけではありません。会社の過去の実績や評判、担当者の対応の誠実さや説明の分かりやすさも、信頼できるパートナー選びには欠かせない要素です。
複数社を比較する際には、査定額とともに総合的な視点で評価することが、満足のいく売却を実現する近道となります。不動産会社の選び方について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
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(提供:manabu不動産投資 )
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