株式会社クロス・オペレーショングループ

生成AIの進化が加速する現代において、株式会社クロス・オペレーショングループの代表取締役・田中亮大氏は、単なるAI導入に留まらない「オペレーションとの融合」こそが企業成長のカギだと指摘する。過去に二度の事業売却を経験し、MyGPTsの導入支援を日本で初めて行うなど、常に時代の先を読んできた田中氏が、AIと人によるオペレーション改革に注力する理由とは。AIの導入を考えている企業経営者・経営企画部の担当者がすべきこととは。

田中亮大(たなか りょうだい)──代表取締役
1985年、山口県生まれ。国内最大の経営者動画メディア「日本の社長.tv」を全国に広げ企業PR動画の文化を形成。その後、オンライン商談システム「ベルフェイス」を創業し非対面会議という商習慣の礎を築き、文系人材向けマーケティングAIツール「マーケロボ」を開発し上場企業にM&Aにて売却。2022年10月にAIのオペレーション(Ops)の融合を目的として株式会社クロス・オペレーショングループを創業。
株式会社クロス・オペレーショングループ
2022年10月に上場企業グループ会社としてAIのオペレーション(Ops)融合を目的として創業。法人向けGPT「Ops(オプス)AI」はリリース1年で有料導入社数500社を突破するヒット製品となる。AI時代の業務(Ops)改革コンサルティングにおいては上場企業を中心に30以上のプロジェクト推進を行っている。日本で初めてMyGPTsの導入支援を行った会社としてもAIに認知されている。
企業サイト:https://x-opg.com/

目次

  1. 社名の「クロス」の意味 AI導入の肝はシステム提案ではない
  2. 潜在ニーズを顕在化させた「OpsAI」
  3. 成長企業が続々導入しているBizOps(ビズオプス)という役割
  4. AI導入を検討する企業経営者がまずすべきこと

社名の「クロス」の意味 AI導入の肝はシステム提案ではない

── 創業から現在に至るまでの経緯を教えてください。

田中氏(以下、敬称略) 当社は2022年10月の創業ですが、私はその前にもスタートアップをやっていました。子供が生まれたタイミングで、社会に良いことをしたいと思い、コロナ禍の前でリモートワークが普及していなかったころに、リモートワークをする方向けのクラウドソーシングや託児所を運営していました。託児所で働けるワークプレースのようなこともやっていたのです。

1年ほどで事業売却をし、2018年に再スタートしました。当時は資金調達バブルで、知人の社長が何千万円も調達するような状況でした。そこで、SaaSのマーケティングオートメーションツールを開発しようと考えて、4年間事業を続けました。

また、マーケティングオートメーションの市場自体がAIによって不要になることを肌で感じていたため、AIで収益化しているうちに売却したのが2022年末です。

そこから現在のクロス・オペレーショングループを創業しました。「クロス」は「かける」という意味で、AIかけるオペレーションです。AI技術が広がれば広がるほど、各企業が本当に欲しいのはAI技術そのものではなく、それをオペレーション業務、組織、事業にどう融合させるかという点です。その需要が高まるだろうと考え、あえて社名にAIという言葉は入れませんでした。

── 事業内容は、AIの導入や、売り上げ拡大のコンサルですか?

田中 ほぼその通りです。現状、AIを導入しようとする会社ばかりで、AI活用には、オペレーションを見直さなければなりません。AIを含めたアノテーションやデータの整理など、AI化できない部分のオペレーションも含めた再設計が必要です。それを提唱する会社はあまりありません。コンサルティング会社も結局、その後にシステムを入れたいわけですから、技術やシステム寄りの提案になりがちです。

当社はAIありきではなく、AI化はするけれど、AIだけを変えるわけではないというスタンスです。この“当たり前のこと”を言う会社があまりないため、基本的にはコンペになることもなく、大手コンサルファームの下請けで入ることもなく、すべて直接案件です。創業2年と創業間もないにも関わらず、JR西日本グループさんや、ツムラさんといった誰もが知る企業様でAI時代のオペレーション構築を推進しています。システム開発を行わないにも関わらず億単位の案件をいただくこともあります。システムを作るからコンサル会社に要件定義からPoCまで依頼する、という流れが一般的ですが、当社はシステムを作らないのにそれだけの費用をいただいています。

当社が担当するのは、AI技術以外のオペレーション、つまりヒューマンオペレーションをどうするのかという部分です。どんな会社でも業務のすべてがAI化されるわけではありません。AIができるのは多くても2〜3割ほどで、残りの7〜8割は引き続き人がやらなければならない。ここをAIに即したツールを活用しながら、人がどうオペレーションしていくか、というテーマを進められる会社が、今のところない。なぜなら面倒くさいからです。

当社はAIの進化・普及に比例してオペレーションの必要性が高まると考えています。人が働かなくなるまでは、ヒューマンオペレーションは絶対に必要です。そこをより良くしていくことが、企業の価値向上だけでなく、そこで働く方々の働きがいにも直結すると考え、この社名で事業を行っています。

潜在ニーズを顕在化させた「OpsAI」

── 技術を入れるのではなく、オペレーション全体を見ると。

田中 そうです。もちろん技術も入れます。お客様によく言われるのは、AIツールの導入は、システムができ上がるまで事業インパクトがないということです。何年もかけて何十億円もかけてシステムを作っても、でき上がったら現場から反発を食らう。それがコンサル会社の儲けどころになっているのが不思議でした。

当社はAI導入を目指しつつも、それよりも前にオペレーションに着手しておくので、プロジェクト開始した瞬間から事業インパクトにつなげられます。当たり前の話をしているだけなのですが、その観点で話をしてくれる外部企業は今まで出会ったことがない、と全てのクライアント様から声をいただきます。

スタートアップなら1〜2ヵ月で成果が出始めます。当社が入って既存のオペレーションを整備しただけで、翌年に売り上げが10倍になったベンチャーもあります。

── 事業を成長させた秘訣や、困難を乗り越えた出来事はありましたか?

田中 まだまだ成長の道半ばではありますが、読み間違えていたなと思うのは、AI普及によってオペレーションのニーズがもっと早く高まると思っていたことです。

オペレーション改革というと、みんなコスト削減をイメージするようで、オペレーションを磨けばAIとの融合ができて企業価値が上がり、そして働きがいも向上する、という認識がまだないんですね。

当社はAIを敵視しているわけではないので、分かりやすいAIプロダクトを自社でリリースしようと考えました。法人が安心・安全に使えるChatGPTのようなサービスとして「Ops(オプス)AI」をリリースしたのです。これが1年でツムラさんやナレルグループさんなど500社以上に売れました。

オペレーション改革を直接訴えるのではなく、AIをフックにすれば導入してくれる企業が多いので、それをきっかけに接点を持てるのはありがたいことです。

どの企業に「ツールを入れるのが目的ではないですよね、何がしたいですか」と問うと、「業務改革をして企業価値を上げたい」となります。そこで、オペレーションとAIの関係を説明すると、「まさにそのとおりです」となる。

成長企業が続々導入しているBizOps(ビズオプス)という役割

── 大手企業も中小企業もニーズが高いのでしょうか。

田中 高いです。ただ、弊社がしっかりオペレーション変革の実務者として入り込む企業様は、中堅企業以上となります。売り上げで数百億円から5000億円未満、従業員で数百名から5000人以下ぐらいの企業です。JR西日本グループさんも、グループ全体というより、事業会社のご支援をしております。逆に、大企業過ぎると、正直現場のオペレーション改革よりも社内政治色が出てきて、何も進まないケースがあります。

── 特に今、関心のあるトピックや、次にやってみたいことなどがあれば教えてください。

田中 今、成長企業が続々と導入している役割にBizOpsというものがあります。Business Operationsの略称で、経営と現場(業務・組織・事業)すなわちオペレーションのハブとなる役割です。経営戦略が正しくオペレーションに浸透させる、そしてオペレーションの実態を把握し、最適な経営判断に寄与するという事業成長の中核となる部門です。

海外ではBizOps職専門の求人メディアもあるくらいAI時代には必須の役割となっています。日本国内でも、成長企業を中心に、BizOpsの募集をかけている企業が急速に増えています。

従来の私たちに馴染みあがる部門として近しいのが、経営企画部・事業企画部・業務推進部といったビジネスマネジメント部門です。ただ、全ての会社がそうだとは言いませんが、このようなビジネス企画部は、社内の調整役で終始するケースも多く、その点BizOpsは、経営とオペレーションのハブという役割に特化していることが違いです。

BizOpsとは、経営⇔現場のハブであり、経営戦略を如何に現場のオペレーションに落とし込み、改善案を経営に戻り意思決定を支えることを担いますので、言ってしまえばBizOpsの上位互換はCOO(Chief Operatiing Officer)です。そして、BizOpsの目的は、オペレーショナルエクセレンスを構築し競争優位性を築き、経営戦略を現場(業務・組織)すなわちオペレーションに落とし込み事業スケール・企業価値向上をリードしていくことです。

どう考えても、全ての会社に必要な役割であることは異論ないかと思います。しかし、残念ながら、国内におけるBizOpsの経験者というのは稀有であり、当然ながら社内でBizOpsを教えてくれる先輩もいないというのが現状です。

一社でも多くの企業に、BizOpsという役割を設置して、事業成長と働きがいの向上を実現してほしいと願っています。

AI導入を検討する企業経営者がまずすべきこと

── BizOpsが普及するには、どうすればよいとお考えですか。

田中 何事もモデルケースが増えなければ手探りで進むだけになります。したがって、BizOpsのモデルケースが増えることが重要だと思います。

当社は、社名の通り、オペレーションを生業にし、単なるコスト削減ではなく、オペレーショナルエクセレンスを実現する稀有な会社です。当社がBizOpsの普及の一翼を担わなければ誰がやるんだ、くらいの意気込みもあります。

加えて、BizOpsという役割自体を体系的に学べるプログラムも求められています。この育成プログラムも当社で行っていますので、今後は社外の方々でも学べるように開放していくつもりでいます。

また、BizOpsに取り組んでいる会社で結束して、BizOpsアソシエーションといった協会の運営も計画しています。

── 今後の事業拡大の未来構想や、IPO、M&Aといったファイナンス戦略について、言える範囲で教えてください。

田中 まず、多角的な事業展開は行いません。あくまで、オペレーションの価値を高めていく目的の事業に選択と集中を行います。私の場合、前職を2〜3年で売却しているので、また売るのではないか、と社員に思われがちですが、当時は事業のミッションが小さかったのです。マーケティングを良くするとか、システムでどうこうするといったミッションは達成しましたが、時代の流れが早かったので、自分たちの役割ではないから売るという判断でした。

今やっていることは、オペレーションの最大化、つまり「働くことをいかに良くするか」ということです。人が働かなくなり、ベーシックインカムになるような、リアルな世界がバーチャルな世界に逆転するようなことがない限り、この事業は絶対に必要です。

突き詰めると、、働き方やオペレーションの答えは各クライアントの現場に多くあります。やっていることを磨くことが私たちの役割なので、私たちが新しい事業をやって、外からクライアントに「このツールをやりましょう」「これをやりましょう」というものではありません。

私たちが新規事業をやるよりも、それぞれのオペレーションのコアを磨くのが私たちの役割です。それを最適化させるためにAIプロダクトを作ったり、メディアを運営したりすることはありますが、それは事業という感覚ではなく、あくまで一環としか思っていません。

効率が良いことはやります。そのためのM&Aは、今度は売るほうではなく買うほうでやります。監査も入っていますから、しかるべきタイミングで上場します。上場するのも、エクイティやファイナンスを集めるというより、M&Aがしやすくなる、採用しやすくなる、という目的が大きいです。

上場しないほうがメリットがあるという意見もありますが、先ほど言った通り、新規事業をバンバン行い多角化展開したいわけではないので、上場したら新規事業ができなくなる、という考え方は当てはまりません。上場したら常に成長を求められる、というのも、そちらの方が良いと考えています。のらりくらりやるよりも、限られた人生の中で急いで成功するほうが良い。

── AI活用を考えている企業は多いと思いますが、アドバイスするとしたらどんな言葉をかけますか?

田中 AIの使い方が間違っていることが非常に多いので、それを含めてお伝えしたいです。

最近ようやく、各社が「社長のクローン」を作り始めてリリースしていますが、ああいったものは2年前からずっと言っています。当社はMyGPTsの導入支援を日本で初めて行った会社なんです。

AIやChatGPTを使って自分のクローンを作るのが最初で、クローンに自分の考え方などをどんどん蓄積しておけば部下や社内に展開できる。組織や業務でAIを活用するステップとして確実なのは「あなたのクローンを作ること」です。それがすぐにできることなので、宣伝というより、本当に言いたいだけです。

このAIクローンを沢山作っていくというやり方は、どの規模の企業でも、いつでもだれでもトライできます。数千円の利用料ですから、やらない手はありません。

そういったことをやったうえで、コンサルティング会社に高いAIプロジェクトの費用を払うというのならわかります。また、AIクローンを各自で作成できるようになった上で、AIエージェント化して業務の自動化を図るといったステップを考えるべきだと思います。

氏名
田中亮大(たなか りょうだい)
社名
株式会社クロス・オペレーショングループ
役職
代表取締役

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