この記事は2025年11月18日に「CAR and DRIVER」で公開された「ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み」を一部編集し、転載したものです。


日産がジャパンモビリティショー2025でミニバンのフラッグシップの新型「エルグランド」、SUVのフラッグシップの「パトロール」、電気自動車のフラッグシップの「アリア」マイナーチェンジモデルを発表。経営計画「Re:Nissan」に基づいて、最新の軽自動車からフラッグシップモデルまでをラインアップして、感動と誇りを呼び起こす魅力的な商品をユーザーに届けると宣言

日産自動車はジャパンモビリティショー2025において、経営計画「Re:Nissan」に基づいた3台の新世代フラッグシップモデルを発表した。

ショーの舞台にはイヴァン・エスピノーサCEOが登壇。「経営計画「Re:Nissan」を通じて、モビリティの未来の創造を目指す」と表明する。同プランは、革新的な商品と技術、そして心に残る体験を中心に据えたもので、日産のイノベーションが顧客満足度の向上に貢献し、日本市場および世界に対する長期的な成長を掲げている。日本においては「エルグランドに代表される主力モデルの刷新やパトロール投入による新セグメントへの参入、そして顧客の感情に響く“ハートビートモデル”の導入を通じて、日産の革新性と伝統を体現する取り組みを進めていく。これらのモデルは、ユーザーのニーズに応えるために開発された先進技術によって支えられ、日産の未来像は伝統と革新が融合したインテリジェントなクルマを市場に提供して、日本市場における持続可能な成長を目指す」と公言した。

ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
▲日産はジャパンモビリティショー2025において経営計画「Re:Nissan」に基づいたミニバンのフラッグシップの新型「エルグランド」を含む3台の新世代フラッグシップモデルを発表

出展された3台のフラッグシップモデルを見ていこう。

まず、ミニバンのフラッグシップとなる新型エルグランド。今回の全面改良で4代目に移行する新型エルグランドは、“The private MAGLEV(日本語名:リニアモーターカー)”をデザインコンセプトとし、非日常の旅に出かける高揚感や期待感を感じさせる特別なデザインを採用する。現行モデルからサイズを拡大したエクステリアは、ハイスピードでありながらスムーズで静かなリニアモーターカーの姿をイメージし、威厳とダイナミックなプレゼンスを兼ねそろえ、“威風堂々”とした佇まいを創出。また、ノートやアリアにも共通するデザインランゲージ“タイムレスジャパニーズフューチャリズム”を体現し、フロントグリルは日本の伝統工芸である“組子”をモチーフとしたほか、サイドパネルの大きな面構成と緻密なディテールのコントラストは日本庭園のように広いスペースの“間”と緻密に仕上げられた細部“整”の考え方を取り入れる。さらに、軽量化を追求した新造形のホイールはフィニッシャーによりアルミホイールだけでは表現できない緻密さと車両全体の統一感あるデザインを実現した。ボディカラーには、富士の黎明の一瞬を切り取った自然美を表現した「FUJI DAWN-フジドーン-」と、日本で古来より高貴さや格式の高さを象徴する色から着想した「至極-シゴク-」を組み合わせた2トーンの新色を採用している。

インテリアに関しては、特別なプライベートラウンジのような空間を目指して開発する。アイポイントが高くなったことによって運転席からの視界が広がり、安心とともに誇らしさが感じられるコクピットを実現。また、モダンで広がりのあるインストルメントパネルデザインと、幅広で高いコンソールにより、ユーザーの満足感をいっそう高めた。さらに、広い範囲にわたって表皮・木目調パネルをあしらうことで高級感を演出。エクステリアの組子パターンと統一感を持たせたキルティングをドアトリムに施し、木目調パネルと一体のシームレスな静電式スイッチに加え、センター、メーターディスプレイに国内モデルとしては初の14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを配備して、上質で先進的なキャビン空間を具現化する。加えて、まるで映画館にいるような臨場感あふれる3Dサラウンド再生が楽しめるBOSE 22スピーカープレミアムサウンドシステムを装備。乗員を包み込むようにインストルメントパネルからドアにかけて連続的に繋がる最大64色の設定が可能な間接照明も組み込んだ。シート素材ににはテーラーフィットを使用し、日本の美意識に息づく、気高さを象徴する紫と青をあしらった「紫檀-シタン-」を採用している。

パワートレインには第3世代のe-POWERを搭載。専用設計により効率を高めた新しい発電特化型エンジン(ZR15DDTe)と、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機の5つの主要部品をひとつにまとめた「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」で構成し、コンパクトで高剛性、かつ静粛性と燃費性能を大幅に向上させる。また、新設計の制御技術の導入により、プレミアムミニバンにふさわしい力強く上質な走りを実現。プラットフォームも刷新し、高剛性ボディと徹底した遮音構造によって、静かで快適な乗り心地を達成した。さらに、駆動機構にはあらゆるシーンで走行性能を飛躍的に向上させる進化版の電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を採用。モーター出力とブレーキ作動の状態をメーターディスプレイに表示し、e-4ORCEの制御が視覚的にも確認できるようになったことも訴求点である。

シャシー面では、走行シーンに応じて4輪の減衰力を可変するインテリジェントダイナミックサスペンションを装備。6つのドライブモードを備えることで、e-POWER、e-4ORCE、インテリジェントダイナミックサスペンションの特性を最適に変化させる。先進安全運転支援システムに関しては、高速道路での運転を支援する「プロパイロット2.0」を設定した。

なお、新型エルグランドの発売は2026年夏を予定している。

ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
▲ミニバンのフラッグシップとなる新型エルグランド。“The private MAGLEV”をデザインコンセプトとし、非日常の旅に出かける高揚感や期待感を感じさせる特別なデザインを採用する。パワートレインには第3世代となる日産のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載

次に、SUVのフラッグシップとなるパトロール。2024年に中東市場で販売を開始した7代目のパトロールは、“unbreakable(壊れることのない頑丈性)”を体現した圧倒的な存在感を誇るエクステリアと、快適さと最先端のテクノロジーが調和するよう緻密に設計されたプレミアム感溢れるインテリアを採用する。パワートレインには最高出力425ps/最大トルク700Nmを絞り出す新開発の3.5リットルV6ツインターボエンジンを搭載。トランスミッションには専用セッティングの9速ATを、駆動機構には日産初採用の4WDトランスファーモードインターロックシステムを、足回りには走行シーンによって適切な車高に調整することを可能としたアダプティブエアサスペンションシステムを組み込み、さらにドライブモードには標準、砂地、岩場、轍、エコ、スポーツの6モードを設定して、市街地はもとより、砂漠や荒野などの過酷な環境下においても卓越した性能を発揮する。

なお、パトロールの発売は2027年度前半を予定している。

ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
▲過去の伝統を受け継ぎながら、大胆なデザインとパワフルなV6ツインターボエンジン、そして最新のインフォテインメントシステムとプレミアムなインテリアを備えたフラッグシップSUVの「パトロール」。日本市場には2027年度前半に導入予定

そして、電気自動車のフラッグシップとなるアリアのマイナーチェンジモデル。より先進性と上質感を感じるフロントデザインに刷新するとともに、Googleを搭載したインフォテインメントシステムの採用や、EVのバッテリー電力を取り出すことができるV2L(Vehicle to Load)機能の追加などを実施する。パフォーマンス面では、日本の道路環境においてより快適な乗り心地を提供するよう、サスペンションのセッティング変更を敢行した。

なお、アリアのマイナーチェンジモデルの発売は2026年2月を予定している。

ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
▲より先進性と上質感を感じるフロントデザインに一新した電気自動車のフラッグシップモデル「アリア」マイナーチェンジモデル。発売は2026年2月を予定

ショーではほかにも、本年8月のマイナーチェンジで追加したエクストレイルのアウトドア志向グレード「ROCK CREEK」や、現行スカイラインの集大成としてスポーツ性能と快適性を高次元で両立した特別限定車「400R Limited」、本年9月に全面改良を果たした第4世代となる軽スーパーハイトワゴンの新型「ルークス」などを出展。また、プレスデーの10月29日には、日産が世界市場で魅力的な商品を提供している証として、中国でリリースした最新の若いファミリー層向けEVセダン「N7」と、欧州市場でリリースする第6世代の新型「マイクラ」のEVモデルを披露した。

ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
▲プレスデーの10月29日には日産が世界市場で提供している2台のEVモデルを展示。写真は中国でリリースする最新のEVセダン「N7」
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
ジャパンモビリティショー2025において日産の新世代フラッグシップモデル3台が揃い踏み
▲欧州市場でリリースする第6世代の新型「マイクラ」のEVモデルも披露
Writer:大貫直次郎


(提供:CAR and DRIVER