この記事は2026年1月9日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「確定拠出年金で、投資信託と金銭信託等の割合が過去最高に」を一部編集し、転載したものです。
(運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料」)
当研究所は、資産形成に関する調査分析を行っている。今回は、運営管理機関連絡協議会が毎年11月に公表している「確定拠出年金統計資料」(2025年3月末基準)のデータから、加入者の意識の変化などをひも解きたい。
本資料には、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入状況や資産・掛金額、運用商品の選択状況などが集計されている。まず加入状況を見ると、企業型DCの事業所数は5万8,326カ所となり、前年から6,293カ所増加した(12.1%増)。一方で、企業型DCのマッチング拠出ができる事業所数は1万1,778カ所で、全体の2割程度にとどまる。
加入者数については、企業型DCが905万人(うち掛金拠出のない運用指図者数42万人)、iDeCoが465万人(同102万人)である。両者の加入者数と運用指図者数を合わせると1,369万人(重複あり)となり、前年から81万人増加した(6.3%増)。資産額は、企業型DCとiDeCoを合計して31兆円に達した。
最近の傾向として特筆すべきは、運用商品の選択状況だ。確定拠出年金における「投資信託・金銭信託等」の選択割合は近年、最高値を更新し続けている(図表)。なかでもiDeCoは顕著であり、コロナショックによる株価下落局面や円高局面において、NISA(少額投資非課税制度)と歩調を合わせるように、預貯金等にとどまっていた待機資金が投資信託に流入した模様だ。
iDeCoは17年に対象者の拡大が行われたことで口座開設が進んだが、当初は所得控除というメリットが注目され、口座を開設しても投資信託を選択しない加入者が多数いた。
しかし、25年3月末の投資対象を見ると、外国株式型投資信託が39.4%を占めるまで広がりを見せている。外国株式型投資信託の基準価額が値上がりしていることなどから、足元の投資信託や金銭信託等の選択割合は今後、さらに増えると推測される。
25年6月に年金法が改正され、確定拠出年金制度は今後、大きな変革期に突入する。特に注目されるのは、26年4月に企業型DCのマッチング拠出が事業主掛金を超えることができないとする要件を撤廃することだ。
さらに、27年1月に毎月のDC拠出限度額が7,000円上乗せされるほか、iDeCoも会社員等の国民年金第2号被保険者の掛金上限額(月2万円または月2万3,000円)が撤廃される。これにより、iDeCoは企業型DCの事業主掛金額と、確定給付企業年金等の他制度掛金相当額を合わせて月6万2,000円まで拠出できるようになる。
制度が拡充している確定拠出年金制度。今後、老後の生活資金準備のために、いっそう注目を集めるだろう。
アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員/花村 泰廣
週刊金融財政事情 2026年1月13日号