この記事は2026年1月30日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「上昇基調の継続が見込まれる衆議院選挙後の国内株式市場」を一部編集し、転載したものです。
年初の日本株は好調な滑り出しとなった。大発会は半導体株の上昇が牽引し、日経平均株価は1,493円高と過去8番目の上げ幅を記録。その後は、高市早苗首相が衆議院解散を検討しているとの報道を受け、日本株買いが加速し、日経平均は5万4,000円の大台に乗せた。
選挙は水物であり不確実性は高いが、政権発足以降、高市内閣への支持率は高水準を維持しており、与党が議席を伸ばすとの見方が優勢となっている。過去の衆議院解散時における自由民主党の議席数増減と、その後の日経平均騰落率は高い相関がある(図表)。
政権基盤が安定すれば政策が実行しやすくなり、国内景気や企業業績にとってプラスとの見方が強まりやすいことが背景にあるとみられる。特に、海外投資家は政策の継続性や成長戦略を重視する傾向があり、内閣支持率が高い局面では海外投資家が日本株を買い越す動きが強まる傾向が確認されている。事前の予想どおり自民党が議席数を増やすことができれば、日本株の上昇基調は維持されやすいだろう。
市場のメインシナリオは自民党勝利とみられる。以下では、その前提でマーケットへの影響を考察したい。
筆者は特に、高市内閣が掲げる「17の戦略分野」への期待が高まりやすく、関連企業に物色が向かいやすくなるとみている。政府は、AI・半導体や量子技術、造船、防衛、サイバーセキュリティー、核融合など、国家安全保障と産業競争力の強化を軸にした重点投資分野を明確に示している。公的資金や制度面の支援が集中することで、関連企業の業績拡大と中長期的な株価上昇が期待される。
また、高市首相は供給力の向上による経済成長の実現を目指しており、2025年度補正予算や26年度税制改正大綱には、国内投資の加速策が盛り込まれた。具体的には、先端分野への大規模投資や国土強靱化などの公共投資への予算配分、即時償却・税額控除を柱とする大型投資促進税制などが挙げられる。
日本経済の需要と供給の差を表す需給ギャップは、中期的にマイナス幅が縮小傾向にあり、インフレ対応型の経済対策の必要性が高まっている。内訳を見ると、需給ギャップのうち労働投入ギャップはプラスで、人手不足が構造的に続いている。
一方、資本投入ギャップはマイナスで、十分な設備投資が行われていない状況が続く。人手不足を補い、生産性向上につながる投資拡大が求められる状況となっており、デジタル化や自動化に関連する投資ニーズはいっそう高まると予想される。今後も設備投資は増加基調が続くとみられ、建設・機械・電気機器セクターを中心に関連銘柄の物色が見込まれる。
大和証券 投資情報部 トラテジスト/高取 千誉
週刊金融財政事情 2026年2月3日号