この記事は2026年4月10日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:誤解ばかりの財政と国債の真実/会田卓司『日本経済 成長の道筋が見えた』」を一部編集し、転載したものです。

日本経済 成長の道筋が見えた ~誤解ばかりの財政と国債の真実~

誤解ばかりの財政と国債の真実/会田卓司『日本経済 成長の道筋が見えた』

ビジネス社

【髙橋洋一氏推薦!】サナエノミクスで日本はもっと豊かになる!日本人はもっと楽に生きられる!!家計・物価・年金に潜むウソを明かす。成長投資のための国債発行は躊躇してはいけない!「財政あっての経済」か、それとも「経済あっての財政」か。国の借金が「財政破綻を招く」は大間違い!日本が黄金時代を築くための新しい教科書

日本経済 成長の道筋が見えた

──真の豊かさを実現するために

日本経済は「失われた30年」と言われる停滞を続けてきました。それにもかかわらず、財政政策の考え方は変わりませんでした。財政収支は黒字でなければならないという従来の財政政策の考え方は、国民の生活を豊かにするためのものであるとされてきました。国民の生活を豊かにすることが目的であり、財政健全化は手段でした。

国民の生活を豊かにする目的は正しいのです。しかし経済は「失われた30年」の停滞を続け、国民の生活は豊かになっていないわけですから、目的は達せられていません。そうであれば、財政政策の手段を見直すべきでした。財政健全化優先の考え方から、積極財政への転換です。

しかし目的の正しさと手段の正しさの混同があったとみられます。国民の生活を豊かにする目的は正しいことであっても、旧来の手法である手段も正しいと誤認され、見直しにつながらなかったと考えられます。そればかりか手段が正しいのに目的が達せられないことで、経済停滞の原因を人口動態や企業の保守的な経営など他に理由を求めてしまいました。

国民の生活を豊かにするという目的の正しさと、財政健全化の手段の正しさの混同が、高市首相が指摘した「行き過ぎた緊縮財政の呪縛」であると考えられます。衆議院解散の記者会見で、高市首相は、「これまでの行き過ぎた緊縮財政の呪縛を乗り越えて、経済・財政政策を大転換する」ことを国民に信を問うとしました。

衆議院選挙の期間中に、高市政権の積極財政の方針に対して厳しい批判が多くみられたことは、国民の信を問うべき争点を立てることに成功したことになります。厳しい批判を乗り越え、衆議院選挙に大勝したことによって国民の信任を背景に、高市政権の積極財政へ大転換する推進力がより強くなったとみられます。

30年間の経済停滞をもたらした緊縮財政から変化し、新たな経済・財政政策を試みることを国民は望みました。これで緊縮財政の抵抗勢力を乗り越えることができると思われます。

高市政権は、これまでの官民の投資不足が日本経済の停滞と国力の衰退を招いたと考えています。財政健全化優先の考え方によって官も投資できませんでした。同政権下での初の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)では、経済・財政政策の大転換を試みることになるでしょう。

これまでの主流派の考え方は、財政健全化にこだわるあまり、経済規模の持続的な拡大という責務を政府は果たしませんでした。需給ギャップが0%でちょうどよいという考えで経済政策が引き締められ、景気回復の果実は国民に届かなかったからです。

今後、需給ギャップが十分に大きくなるまで、積極財政と緩和的金融政策、官民連携の投資・需要の拡大による「高圧経済」の方針で、経済規模の持続的な拡大にコミットします。私が参画している成長戦略会議では、17の戦略分野を中心に官民連携の成長投資の拡大のグランド・デザインを策定します。

高市政権は、経済・社会の課題解決のため「危機管理投資」と「成長投資」など官民連携で投資を拡大していくことを明確にしています。中長期的なスパンでの投資戦略を示すことで、企業の予見可能性と成長期待を高めます。

企業の国内支出の拡大で、貯蓄超過(投資不足)から投資超過に回復させ、日本経済を「コストカット型経済」の暗い状態から「成長型経済」の明るい状態へ移行することを目指します。高市政権は、実質所得の増加などによって、景気回復の果実が国民にしっかり届くまで満足しません。

かつて小泉・竹中路線とも、構造改革路線とも言われた新自由主義的な思想は、政府の関与を小さくします。このためプライマリーバランスの黒字化目標は、財政健全化路線と親和性がありました。しかし現在のグローバルな経済政策の潮流は、多様化する中長期の経済・社会の課題を解決するための官民連携の投資と需要の拡大に変化しています。そして官民連携の成長投資のグローバルな激しい競争になってきています。

プライマリーバランスの黒字化目標は、将来の成長や所得を生む成長投資であっても、税収の範囲内で行う制約となります。成長投資のグローバルな激しい競争の中、日本だけ無用な足かせをはめて戦えば、競争に敗れ、国力の衰退の原因となってしまいます。

高市政権では、積極財政でグローバルな経済政策の潮流の変化に乗るため、プライマリーバランスの黒字化目標から、より柔軟な財政目標に変え、官民連携の成長投資の競争を勝ち抜き、国力の強化に取り組むとみられます。経済規模の拡大と国力の強化で、経済再生の先には財政健全化まで成し遂げることになるでしょう。

本書では、経済再生と国力の強化に向けた経済政策の戦略と、戦術としての政策論を解説していきます。サナエノミクスは投資拡大です。高市政権は、衆議院選挙の大勝を背景に緊縮財政の抵抗勢力を乗り越え、経済・財政政策の大転換を加速し、積極財政による投資で強い経済を作ることを目指していくことになるでしょう。

投資の拡大による供給能力の拡大と経済再生と潜在成長率の上昇(資本蓄積と生産性の向上)で、円安のトレンドを円高のトレンドに変えて行き、国民も国力の回復を実感していくことになるでしょう。


会田 卓司
クレディ・アグリコル証券 東京支店 チーフエコノミスト
松本 賢
クレディ・アグリコル証券 マクロストラテジスト

本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、本レポート中の記載内容、数値、図表等は、本レポート作成時点のものであり、事前の連絡なしに変更される場合があります。なお、本レポートに記載されたいかなる内容も、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。