
接骨院の院長をしていた田中悠貴氏が、2013年に立ち上げた株式会社Ultimate Life。副業の通販事業からスタートし、現在はスポーツ・フィットネスブランド「GronG」(グロング)を展開し、サプリメントの自社企画・開発から地方特化型の24時間ジム運営まで、多角的な事業で急成長を遂げている。
同社の強みは、サプライチェーンの徹底した内製化による高品質・適正価格の実現だ。さらに、M&Aによる拡大ではなく、設備投資による生産性向上で着実な成長を描く道を選ぶ。
異業種からメーカーへと転身し、踊り場を乗り越えて独自のブランドを確立した田中社長に、その足跡と健康を通じた社会貢献への思いを聞いた。
目次
接骨院の院長から副業的に事業スタート
── 田中社長のこれまでの歩みと、事業を立ち上げた経緯を教えてください。
田中氏(以下、敬称略) 私のキャリアのスタートは接骨院です。23歳のころから院長を務めていました。その空き時間を利用して始めたのが通販事業でした。最初はネットで中古品の買い取りをしたり、業者さんから在庫過多になっているものを買い取らせてもらったりして、アマゾンやヤフーショッピング、ヤフオクなどで販売することから始めました。これが現在のUltimate Lifeの原点です。
── そこからどのようにメーカー機能を持つ組織へと成長したのでしょうか?
田中 創業1期目あたりは、リユース商品の買い取り販売を続けていました。しかし、既存のものを集めて売るモデルでは事業をスケールさせることが難しいと感じ、中国の工場を探し始めました。そして2016年、創業4年目に「GronG」というブランドを立ち上げました。私自身が接骨院やスポーツトレーナーの経験を持っていたため、スポーツ領域で勝負することに決めたのです。
自社ブランド「GronG」の誕生とサプライチェーンの内製化
── 商品の開発体制、特徴を教えてください。
田中 当社の強みは、サプライチェーンの内製化率が非常に高いことです。プロテインやアミノ酸などの粉末飲料に関しては、社内で原料の調達から処方の開発、さらには物流までを一気通貫で行っています。これにより、お客様の生の声を反映させるPDCAサイクルを非常に速いスピードで回すことが可能です。
── プロテイン市場での差別化戦略をどのように考えていますか?
田中 私たちが心がけているのは、過大な広告表現を避け、本来の目的を達成するために必要な栄養価やバランスを追求することです。また、ターゲットを細分化し、ブランドコンセプトを明確にすることも重要です。たとえば「デリシャスフィット」というブランドは、とにかく美味しさや飲みやすさに特化しています。
フィットネスジム展開で大手が着手しない領域に進出
── フィットネスジムの運営についても、独自の戦略があるそうですね。
田中 私たちの戦略は、大手チェーンが積極的に進出しないような、人口5万人程度の地方都市をターゲットにすることです。地方では大手の参入が限定的です。私たちは5000円以上の単価でも充実した設備とサービスを提供することで、地方において高いシェアを獲得することを目指しています。また、自社のジムをGronG製品のオフラインの販売チャネルとして活用する狙いもあります。
M&Aよりも成長への投資に注力
── 事業拡大で直面した最大の壁は何でしたか?
田中 壁は大きく二つありました。一つはGronGというブランドを確立するまでの模索期間です。二つ目は、ブランド立ち上げ後に成長が停滞した時期です。この壁を突破できたのは、ホエイプロテインの領域に本格参入し、スポーツニュートリション市場でブレイクスルーを起こせたことがきっかけです。
── 資金調達やM&Aについての考えは?
田中 M&Aについては一時期検討したことがありましたが、現在は考えていません。製造や物流といったサプライチェーンの強化に資金を投じるほうが、当社の文化に合っていると判断しました。組織づくりにおいては、月に1回、45分間の個別面談を必ず実施し、会社が目指す方向と個人の価値観が重なり合う部分を広げることを目的としています。
健康を軸とした社会貢献を目指す
── 今後の展望を教えてください。
田中 会社の規模を拡大することが目的ではありません。一番大事なのは、従業員が楽しく仕事をし、社会に貢献できていると実感できる状態をつくることです。その結果として、良いサービスやプロダクトが生まれ、消費者の皆様の日々の生活が豊かになれば、これほど嬉しいことはありません。やはり健康はすべての基盤です。トレーニングや食事に気を配り、健康な体を手にするために、ぜひ私たちの商品も活用していただければ幸いです。