日銀が豪語してきたインフレターゲット、当初は2年で2%の目標達成だったが、ここへきて期限の話が後退した感がある。実はこの公約の最大リスクは、円安を利用して2%シナリオを実現した時であり、その後、未曾有の金融リスクがやってくると予想する金融関係者もいる。その懸念にフォーカスしてみよう。


インフレ2%達成なら量的・質的金融緩和は・・・

日銀による量的・質的金融緩和(QQE)は、金融抑圧政策に他ならない。もともとこれは発展途上国が金利を規制することに端を発した政策であったが、最近では米国をみてもほとんどゼロ金利とし、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利をマイナスにコントロールする手段として論じられるようになってきた。

この状況は日銀が大量に国債を購入し、新規国債もほぼ全額買い入れる形にしたため、長期金利が低下。コアCPIを差し引くと実質金利はマイナスになることで作り出されている。しかし実際は、インフレ率2%達成目標という大義名分や、原油価格の下落によって、金融緩和政策を継続できているのだ。仮に2%の達成が確実になれば、QQEをどこかのタイミングで終了させなくてはならない。


長期国債金利の上昇はどうなる?

最近ではこうした日銀のQQEが、国債の価格下落と長期金利の大幅上昇をもたらすと警鐘を鳴らす経済予測も見受けられる。危機的な状況が短期間には起こらないとしても、長期国債の金利上昇圧力が高まることは間違いない。その最大の理由といえるのが国債発行額の肥大化だ。国内投資家による国債保有構造が変化し、外国人投資家の資金に依存せざるを得なくなるからである。国債暴落は免れたとしても、国債のリスクプレミアムの拡大分は長期金利の上昇になる可能性が極めて高く、金利の正常化が実現するのだ。

すでに1,000兆円を超える巨大財政赤字と国債による穴埋めは、もはや国内投資家の資金だけでは賄えないのが現実で、外人投資家の国債保有比率が今後急激に高まれば、国債の投げ売りや金利の暴騰といった、これまでは起こりえなかったような事態も想定する必要がある。