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ミャンマー、ラオス、カンボジアなどに囲まれている東南アジアのタイ王国は、経済規模、一人あたりのGDP、インフラレベルなどはこれらの国より一つ抜きんでている存在だ。そのタイの証券取引所には500社ほどが上場しており、最近であればタイの大手財閥グループであるCPグループと伊藤忠商事 <8001> が資本提携を行ったように、タイと日本の大手企業同士が手を組んでいくことがさらに増えていくことが予想される。

今後、アセアンへの情報収集、進出案件数が増加してくるに伴い日本でも認知度が広がり、有名になるタイ企業も増えていくだろう。ということで、今回はタイの実力派財閥をまとめて紹介しよう。


食材

昨今、経済新聞でも度々名前が挙がるようになったCPグループの旗艦企業のCPフーズ(CPF)はタイの農業/食品セクターで上場をしている。2013年度の業績は売上4,045億バーツ(約1.5兆円)、純利益で70億バーツ(約260億円)を確保する巨大企業である。この他にもツナ缶世界最大手タイユニオン・フローズングループ(TUF)は積極的なM&Aを繰り返し世界の水産加工業の大手企業に名乗りを上げている。


消費財

サハ・パタナビブングループ(SPC)が日系企業と多く合弁事業を展開しており、14年度は東急不動産 <8815> と合弁でシラチャ地区における不動産開発に乗り出すことを発表した。


金融

日本に支店もあるバンコク銀行(BBL)がタイ最大の金融機関グループで、多くの地銀、信金も出向者を派遣している。三菱東京UFJ銀行が買収したアユタヤ銀行(BAY)も同様にタイ証券取引所に上場している。


工業

自動車産業を下支えする自動車部品メーカーが数多く存在し、上場企業としてはアーピコハイテック(AH)、ソンブーンアドバンスドテクノロジー(SAT)が日系各自動車メーカーに部品を納める大手企業である。


不動産

ゼネコン大手がインフラ開発に合わせ多くのプロジェクトを受注しており、イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)やチョーガンチャーン(CK)などが高架鉄道、地下鉄、道路などを次々と建設している。住宅不動産も日系企業と合弁を組むAPタイランド(AP)やアナンダ・プロパティ(ANAD)もタイ証券取引所に上場している。


エネルギー

タイ国営の企業が多く、タイ国営石油(PTT)が最大企業。売上規模は2013年度末で2兆8839億バーツ(約10兆円)という巨大エネルギー企業である。


サービス

今後もっとも伸びる産業であると期待されているサービス産業ではセブン・イレブンブランドを展開するコンビニエンスストアCPオール(CPALL)やフランスカジノグループの運営するBIGCスーパーセンター(BIGC)などが大手企業で、タイ国内中間層をターゲットとして店舗数を増加させている。昨今話題のLCCのタイ/エアアジア(AAV)やノックエアー(NOK)も同カテゴリーで上場している。


IT・通信

携帯電話キャリア1位のAIS(ADVANC)やノルウェー系2位のトータルアクセス(DTAC)、通信大手トゥルー(TRUE)などはすでにタイ国内での認知度は高い。以前の日本の市場のように様々なインターネット系サービス企業の他にも電子部品や通信インフラで活躍するタイの企業も増えている。

※為替レートは2014年1月末 1バーツ=3.65円で計算

阿部俊之(あべ・としゆき)
ASEAN ジャパン コンサルティング株式会社代表取締役。タイ・アセアン市場調査のためのマーケティング情報サイト 『Asean Japan』 を運営。ASEAN諸国(シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア)の上場企業概要レポートを作成・配布している。

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