Calculating Taxes Up And Down

平成27年1月以降からスタートする税制改正より、より多くの方にとって身近な問題となってくる相続税。
相続税対策をお考えの方は是非参考にしてみて下さい。


〇相続対策は必要


相続対策が必要な理由は、2点あります。

① 制改正
平成27年1月からスタートする税制改正により、相続税の基礎控除などが大幅に縮小され、相続税の申告しなければいけない人が増える見込みです。具体的には、基礎控除 現行制度(5,000万円+1,000万円×法定相続人)から改正後(3,000万円+600万円×法定相続人)になり、6割縮小されることになります。
この税制改正により、課税対象となる死亡者数は、46,000人から70,000人台になり比率でみると4.1%から6%の約1.5倍になります。
また、相続税を納める相続人115,000人から175,000人の6万人増えるということが予想されています。これから、相続税を納めなければいけない人は間違いなく増えていきます。

② 相続はもめる!
分ける財産がない人でも、相続になるともめることはよくあります。
遺産価値別遺産分割の認容・調停成立件数(出所:司法統計年報)というデータがあり、
平成22年分の遺産分割事件のうち、認容・調停成立した件数の遺産価格別に着目すると、
・認容・調停成立した総件数は、8,015件
・遺産価格1,000万円以下で認容・調停成立した件数は、2,479件(30.9%)
・遺産価格5,000万円以下で認容・調停成立した件数は、3,470件(43.3%)
・遺産価格1億円以下で認容・調停成立した件数は、1,065件(13.3%)
・遺産価格5億円以下で認容・調停成立した件数は、590件(7.4%)
・遺産価格5億円超で認容・調停成立した件数は、51件(0.6%)
・算定不能・不詳件数が、360件(4.5%)

となっています。
これをみると遺産額が5,000万円以下や1,000万円以下の家庭でもトラブルになっているということがわかります。
ただ、全体の分母が違うため、遺産額が5,000万円以下のほうがもめやすい!ということにはならないと思います。

以上に2点により、相続対策は多くの人が必要になってくると思います。


〇生前贈与を徹底活用しよう


生前贈与は相続対策にいける最も有効な手段です。住宅資金や教育資金における特例もあり、フル活用すれば大きな節税効果が期待できます。2013年度税制改正で、税率が一部緩和され、新たな特例も設けられた贈与税。相続より贈与を制度面で優遇するという大きな流れに乗って、自分に合った贈与の手法をみつけましょう。

相続対策において最大の切り札になるのが『生前贈与』です。
第一に、計画的に資産を贈与することで、相続時に課税される財産を効率よく減らすことができる。加えて、贈与を受けた資産などを生活費や教育費に充てられるので、子供や孫の家計支援にもつながるなど、メリットは大きい。
まず、生前贈与には、年間の非課税枠が110万円の『一般贈与制度(暦年贈与)』と非課税枠が2500万円の『相続時精算課税制度』の二つに分けられます。
どちらも相続税の制度に比べてシンプルなため、使い勝手は良いです。
しかし、使い方を間違えると、贈与税は低い金額でも高い税率が設定されているため、重い税金を課せられることになりかねません。
また、こうした制度をはじめ、税制改正の目玉ともいうべき『教育資金の一括贈与』の非課税制度などについても是非使って下さい。


〇贈与の7カ条


① 贈与契約書を作る
トラブル防止のため、双方の意思を書面に残す

② 贈与税はもらった人が支払う
一度に贈与し過ぎてしまうと、子や孫が納税できなくなる場合もあるため、注意が必要

③ もらった人が自由に使える状態にする
通帳や印鑑は自分で保管せず、相手に必ず渡す

④ 贈与総額をあらかじめ決めない
総額を事前に決めて毎年分割で渡すと、一括贈与とみなされ総額に対して課税される場合がある

⑤ 生活費、教育費はその都度必要なだけ渡す
扶養義務者の学費や下宿費などの都度贈与は課税対象外

⑥ 借金の肩代わりは贈与税の対象
ただし、当人がリストラなどで収入がなくなり、返済困難な場合の肩代わりは課税対象外

⑦ 相続開始3年以内の贈与は相続税の課税対象
相続人への贈与に対する3年ルールに気を付けよう