財産債務調書制度,マイナンバー,富裕層,出国税
(写真=Thinkstock/Getty Images)

税制改正によって政府による徴税の強化が着実に進められている。特に、①出国税、②マイナンバー制度、③財産債務調書の3つは、富裕層を中心に、国民の関心が非常に高い。そこで、今回はこの3つについて、改正のポイントを解説したい。


出国税(国外転出時課税制度 )

出国税とは、一定額以上の資産を保有している者が日本国外に出国する場合に、当該資産を譲渡したものとみなして課税するものである。資産家が海外に移住して課税逃れするのを防止する狙いがある。

現在の税法では、未実現利益については原則として課税されず、株式などを売却して実際に譲渡益が出た場合にのみ課税される。そして、日本に居住していない場合には、居住国で課税されるため、原則として日本においては課税されない。

これが7月以降、出国税が導入されるようになると、有価証券等を有する場合には、出国時に、当該有価証券等の決済をしたものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算しなければならなくなる。

ただ、対象者となるのは、有価証券等の資産の合計額が1億円以上である者で、出国の日前10年以内に居住者である期間の合計が5年超である者に限られる。したがって、誰でも出国税の対象になるわけではない。出国税は含み益を課税対象とするため、納税資金が不足するおそれがある。そのようなこともあり、出国から5年間は納税を猶予することができるようになっている。さらに、納税猶予は申請により10年まで延長することができる。


マイナンバー制度

10月からスタートするマイナンバー制度は、国民ひとり一人に12ケタの番号を付して国が資金の動きや資産の状況を管理しようとするものだ。表向きの目的は「社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するため」  としているが、徴税の強化であると考えられる。

マイナンバーによって、何が変わるかというと、預貯金、証券口座の情報などが一括管理されるようになる。番号で紐づけられるようになるため、誰がどの銀行や証券会社にいくら資産をもっているかがあっという間にわかるのだ。

マイナンバー制度の導入によって、多額の資産を持っていながら、納税は少ないなど不自然な者に対して徹底的にマークすることができる。また、死亡した場合にも資産状況が国に把握されているので、直ちに相続税が計算されることになる。

近い将来、日常生活のさまざまな場面で、「12ケタの番号」が必要になるだろう。マイナンバーは一生変わらず、個人を必ず特定できるからだ。しかし、番号が漏えいすれば、一度に多くの個人情報が奪われることになる。法令に根拠がない場合には、番号情報は提供する必要ないので、安易に記入しないよう注意しなければならない。