勢い止まらぬ訪日外国人客数
訪日外国人の増加が止まりません。6月は160.2万人と6月として過去最高を更新し、昨年から51.8%の大幅増加となりました。1-6月の半年間の累計で913.9万人と、こちらも過去最高を更新しています。
7月から12月も上半期と同様の増加ペースを保つと仮定すると、年間の訪日外国人客数は1960万人と、政府が2020年までの目標として掲げていた年間2000万人を今年のうちにほぼ達成することになります。(グラフ1参照)
また、観光庁の発表によれば、今年の1-3月期の訪日外国人の旅行消費額は7066億円とこちらも過去最高で、前年同期比64.4%の大幅増加を記録しました。単純に4倍して年換算すると2兆8264億円となり、日本のサービス産業全体への影響も大きくなっていると考えられます。
訪日外国人は何にお金を使っているのか?
それでは訪日外国人は何にお金を使っているのでしょうか?観光庁のまとめによれば、1-3月期の訪日外国人の旅行支出額の内訳は以下の表1の通りです。
表をご覧いただくと、「宿泊料金」・「飲食費」・「買物代」に特に多くのお金を使っていることがわかります。そこで本日のレポートでは、外国人観光客の増加により大きな恩恵を受けると思われる、「ホテル関連銘柄」についてご紹介します。
宿泊施設の稼働率は上昇中
ホテルを取り巻く環境にはどのような変化が起きているのでしょうか。報道等では、外国人観光客が多数訪れているため、都市部を中心にビジネスホテル等の予約が取りづらい状況が発生していると伝わっています。
そこで、実際に宿泊施設の稼働率は上昇しているのか、観光庁の発表データをチェックしてみました。すると、やはり全国的に宿泊施設の稼働率の上昇が続いていることがわかりました(グラフ2参照)。
月によって季節要因による稼働率の変動が大きいため、右軸に前年同月比の増減率をとったところ、2014年以降直近まで全ての月で前年同月比の稼働率が上昇し、さらに昨年10月以降は前年比2%~4%の高い伸びを示しています。外国人観光客の増加によって、宿泊業をとりまく環境は着実に好転していると見て良さそうです。
稼働率の上昇が続けば、稼働率の上昇自体で売上増加の恩恵があることはもちろん、宿泊施設は強気な価格設定、つまり値上げをしやすくなります。宿泊施設の売上は「宿泊人数」×「宿泊単価」で決まるため、稼働率の上昇は2つの変数双方にプラスに寄与するというわけです。
ホテル関連銘柄は?
それではいよいよ、ホテルや旅館等の宿泊施設を運営している銘柄をご紹介します。今回は、直近の通期業績で宿泊関連事業の売上高が全体の売上高の20%を超える企業をピックアップしてみました。
ピックアップした銘柄の中には、海運業が本業の明治海運 <9115> など意外な企業も含まれています。同社は沖縄や北海道の稚内にホテルを所有しており、観光客増加の影響を受けやすいと考えられます。
もちろん、宿泊関連事業の売上比率が高くても展開している地域によっては、外国人観光客増加の恩恵を受けづらい企業もありますので、宿泊関連事業を行っている企業がすべて業績に好影響があるわけではありません。各社のウェブサイト等でホテルを展開している地域などをご確認頂きながら、投資のご参考にしていただければ幸いです。
益嶋裕
マネックス証券
フィナンシャル・インテリジェンス部 マネージャー
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