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(写真=PIXTA)

◆政策

エコノミストなどの追加緩和に対する見通しが大きく割れており、「緩和あり派」と「緩和なし派」がほぼ拮抗状態にある。ただし、日銀が掲げる「16年度前半に物価上昇率2%達成」が困難ということはほぼ共有されており、期限内の物価目標達成が困難であることが明らかとなった時の日銀の対応についての見方が分かれていることが、緩和見通しが割れている要因になっている。

具体的な論点としては、(1)緩和の限界をどう見るか?(2)追加緩和なしの物価目標変更は有り得るか?(3)日銀はこれ以上の円安を望んでいないのか?という点があり、それぞれの見解によって、追加緩和「あり」と見るか、「なし」と見るかに分かれる。

ちなみに、筆者は「追加緩和あり」だと考えており(理由は本文に記載)、時期は来年1月が濃厚と見ている。日銀は出来る限り追加緩和を温存するが、「秋からの物価上昇加速」が想定を下回ることが冬に事実として判明し、追加緩和に踏み切るというシナリオだ。

今年末以降は米利上げ(12月と予想)に伴って、金融市場が不安定化するリスクもあるため、その場合には市場対応という意味合いも帯びる。緩和手段としては、ETFの買入れと付利の引き下げ、買入れ対象の拡大を予想している。なお、リスクシナリオも存在する。原油安によってインフレ期待が剥落する事態、景気が7月以降も回復しない事態だ。この際には年内に追加緩和に踏み切る可能性がある。

◆日銀金融政策

日銀は7月ならびに8月の決定会合で金融政策を維持した。近頃、輸出や消費に弱い動きがみられるが、日銀は強気の見方を維持している。

◆市場の動きと予想

7月は円とユーロに対してドルが上昇。長期金利はやや低下した。目先は米雇用統計がカギを握るが、基本的に9月利上げ観測が高まりやすい地合いが見込まれ、ドル円は堅調、ユーロドルは弱含み、長期金利は若干の水準切り上げを予想。

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