ペローニのランドセル
(写真提供=三越伊勢丹ホールディングス)

8~9月といえば残暑厳しい時節ではあるが、衣料品関係では秋冬物商戦の本番を迎える。しかし、需要ピークは来春のはずの新入学・新卒アイテムの中で、早くもこの時期に商戦の大詰めを迎えるのが「ランドセル」市場だ。


お盆がアツイ!ランドセル商戦

百貨店大手の伊勢丹三越は7月1日、イタリアの革製品の高級ブランド「ペローニ」と提携して新製品のランドセルを独占発売した。価格は17万2,800円(税込)。化学物質を使用しない高級な皮革素材、ベジタブルタンニンレザーを採用し、使い込むことで艶や味わいが出る逸品だ。同社は販売個数などを明らかにしていないが、売れ行きは好調なよう。

実はランドセルはお盆時期にこそ特に売れる商材なのである。各百貨店でも、夏休み、特にお盆休みで帰省してきた孫へプレゼントする「孫思い」の祖父母の財布を財源として、商戦はピークを迎えた。「お孫さんへの愛情表現として、ランドセルは格好のプレゼントとなる」(大手百貨店バイヤー)ということで、高額商品が動くのも、お盆休みが最盛期だという。

創業65年を超える本革製手づくりランドセルの「鞄工房山本」(奈良県)では、ここ数年、ランドセルの受注量を年平均10数%ほど増やし続けているが、年を追うごとに早い段階で完売するという。2016年入学のモデルは1万3,000個の販売を計画して6月18日に受注を始めたが、わずか1カ月後の7月26日に生産計画のオーダー数を超えたため、受け付けを締め切ったという。


ハリウッドの女優も愛用!?

ひと昔前まで、ランドセルの色は黒と赤が定番だったが、ではカラーバリエーションが増え、子どもが「お洒落でカワイイ・カッコいい」と思えるようなデザイン性の高い製品が一般的となっている。特に女の子向けには、刺繍を施したデザインなどが人気が高い。牛革、コードバン(馬革)、クラリーノ(人工皮革)など、素材で軽さや耐久性などが異なり、価格は1万円台から10万円を超える製品まで多種多様だ。完成品のほか、自由にカラーや素材、糸などを組み合わせるオーダーメイドで製作するメーカーもある。

この通学用ランドセルが、ターゲットである小学生以外にも「カワイイ」「ファッショナブル」と受け入れられ、新たな需要を生み出している。新進の米女優ズーイー・デシャネルがプライベートで愛用していることが話題となり、それが発端で最新ファッションの発信地であるニューヨークやパリでも、流行の先端を競う女性たちが「普段使い」でランドセルを着用しているという。日本人からしたらにわかに信じ難い現象だが、これもクールジャパンによる少女アニメや少女漫画の海外人気を踏まえると当然のトレンドなのかもしれない。この夏からは「中国をはじめ、訪日外国人客のインバウンド需要も現れ始めている」(大手百貨店バイヤー)という。


6年使うものだから10万円でも高くない?

大手百貨店などで扱うランドセルは、3万~5万円前後が相場の価格帯のようだ。高額商品については「小学生の通学鞄に10万円超?」と思われる向きもあるかもしれないが、日割り計算すれば10万円のランドセルなら、1日あたり45円強(10万円÷2,190日)だ。
お父さんの日々の晩酌やタバコ代と比べれば、可愛い子ども、孫のためなら安いものなのかもしれない。(ZUU online 編集部)

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