ファッション業界では、景気がよい時は「ミニスカートが売れる」と言われる。その景気を判断する日経平均株価は2000年のITバブルを越え、18年半ぶりの高値を記録した。
足元では、中国の株価急落やギリシャ情勢を巡る影響から、値を下げる局面もあったが、2万円台を回復している。景気はよくなっているのか、それを判断するのはスカートの丈だけではない。今、注目されているのは、景気が上向くときの「色」との相関性だ。
「赤」のマツダ・ロードスターが人気
世界中で使用される色見本帳のパントンが毎年発表する流行色では、2015年は「マルサラ」が取り上げられた。これは、赤みがかったブラウンで、イタリア・シチリア島にマルサラという名前の都市があり、そこでは赤ワインが製造されることから、この名前が付いたとされる。
その流行色でも赤を取り入れた商品が好調だ。マツダ <7261> が10年ぶりにモデルチェンジしたスポーツカーのロードスターは、車体は人目を引く鮮やかな赤。当初の月間販売目標であった500台を大きく上回り、発売1ケ月間での累計受注台数は5,042台に上った。
男性に人気のあるスポーツカーに限った話かと思えばそうでもない。
女性のメイクにも変化が現れてきている。好景気になると、眉を太く、真っ赤なルージュを塗る女性が増えると化粧品業界ではささやかれる。デフレに見舞われ、日本経済が失われた20年を過ごしている間、メイクのトレンドは目元と口元は肌の色に馴染むような「ヌードカラー」だった。
しかし、アベノミクスで株価が上昇し始めたのと時を同じくして、赤い口紅が2,3年前からよく売れるようになってきているという。
不景気のときはモノトーン
歴史的にみても、景気と流行色は相関関係にあることが示されている。東京オリンピックの開催で目覚ましい戦後復興を遂げた60年代後半には赤などメキシカンカラーが流行り、いざなぎ景気に乗り大阪万博が開かれた頃は、サイケデリックな蛍光色カラーがもてはやされた。
90年代のバブル景気時にも、明るいビビットカラーが支持されるなど、景況感の見通しがよいときには明るい色の人気が高まる傾向がある。一方、1979年の第二次オイルショックやバブル景気がはじけた後はモノトーンが流行し、不景気の時には落ち着いた色味が支持された。
流行色を取り込むのは、身だしなみや外向きのためだけではない。白物家電と称されるカテゴリーにもその傾向が現れている。かつては炊飯器といえば、本体のカラーは白だったが、各家電メーカーは高級炊飯器市場を開拓した際、赤色や黒色の商品を世に送り出した。
量販店で販売する際、「白」より目立つとの狙いが込められ、パナソニック <6752> が白と赤で展開した高級炊飯器は、赤の売れ行きが白を大きく上回った。キッチンで色のアクセントとなる赤が好まれる傾向が高まってきたのと同時に、景気が上向くと、赤など明るい色の商品が売れるというトレンドが家電業界でも起きている。
景気に大きな影響を及ぼす個人消費。買い物の中で、明るい色味の商品が支持され、街中で赤をはじめとする鮮やかなカラーの装いをしている人を多く見かけると、これまでの好景気に沸いた時期と同じく、先行きの日本経済も期待できるだろう。(ZUU online 編集部)