3、証券取引所のホームページ

証券取引所のホームページでは、一日の売買高など、マーケットの統計資料も得られますが、 実はアナリストレポートも見ることができます 。上記の二つの方法を知っている方であっても、こちらは案外知られていないのではないでしょうか。

東証・大証では売買状況のデータが主ですが、それぞれ傘下の マザーズ・ジャスダックのホームページでは各市場の上場企業のレポートが無償提供されています 。(経営統合後にどうなるのかはまだ不明です。)
いずれも、 「証券会社からはレポートを作成されにくい、新興市場の企業の情報開示を行う」という目的 で運営されています。似ているようでいて、それぞれ特色が異なるので、下記のようにまとめてみました。

【マザーズ】

◯運営機関        一般社団法人 証券リサーチセンター(以下同法人)
◯レポート作成者   早稲田大学 知的資本研究会
◯運営支援        株式会社ICMG
◯レポート対象企業 証券会社にレポートの作成を受けていない会社の中から、同法人が               独自に選定
◯レポートの種類   2種(①フォロー開始のための詳細レポート②決算フォローレポート)
◯企業側負担     なし
◯ホームページ コード順 新着順
◯レポート掲載数/上場企業数  63/179

【ジャスダック】

◯運営機関        JASDAQアナリストレポート・プラットフォーム(JQ-ARP)
◯レポート作成者   アドバンスト・リサーチ・ジャパン、QBR、TIW、モーニングスター
◯運営支援        なし
◯レポート対象企業 JQ-ARPに対し、レポート作成申し込みを行った企業
◯レポートの種類   3種(①ベーシックレポート②アップデートレポート③リサーチノート)
◯企業側負担     あり
◯ホームページ    新着順
◯レポート掲載数/上場企業数  95/928(スタンダード878、グロース50)

注目すべきは、レポート作成者と対象会社・企業側負担の項目です。マザーズは早稲田大学 知的資本研究会が全て作成しているのに対し、ジャスダックは4社の中から公募で選ばれた1社が作成しています。
また、対象会社・企業側負担の項目から、企業側が有料の作成依頼をしている点で、 ジャスダックに掲載されている企業は、よりIRに積極的 ということが考えられます。認知度を上げようと努力しているわけですから、投資対象としては魅力的と言えるかもしれません。

それぞれのレポートの読み方については、次回以降解説します。


4、独立系リサーチ会社のホームページ

「独立系」とは、証券会社や機関投資家(生命保険会社や資産運用会社)に属していないということです。上記の比較表に出てきた、ジャスダックのレポート作成会社4社は全てこの「独立系」にあたり、純粋に 企業を分析して投資家に情報提供するための会社 です。証券会社は企業の株式を実際に売買してもらう(特に買ってもらう)ことが目的ですし、企業の資金調達やM&Aといった業務の提供を行っていることから「より適切な情報を提供する」という以外の動機と無縁ではいられませんが、 独立系リサーチ会社はより客観的な情報提供を行える と言えるでしょう。

収益形態はレポートの発行自体で対価を得ないといけないため(証券会社は株式の売買手数料等を通じて間接的にコストを回収します)、無料でレポートを公開することは難しいと思われますが、 インベストメントブリッジは「ブリッジレポート」というものを毎月30本程度ホームページに掲載 しています。ちなみに、証券会社のように 口座開設する必要はありません 誰でも無料で読むことができます

インベストメントブリッジ


5、株式情報サイト

そのサイト独自の個別銘柄のレポートを無料で読むことはできませんが、各証券会社のマクロ経済レポートや、専門家のコラム・コメントを読むことができます。 多様なソースから収集された情報を一覧で見られるので、最新情報を探すときや、複数の意見を比較するときに大変便利です
コラムについては、「今人気の銘柄は?」など、興味深いテーマで書かれているものもありますので、銘柄探しに役立つかもしれません。

いくつかピックアップしたサイトの特徴を簡単にまとめておきます。

IFIS株予報

企業・アナリストによる業績予想修正、決算発表の新着情報や、コラムを見ることができます。「プロが選ぶチャンス銘柄」、独創的な株式ランキングなど、投資先のスクリーニングの助けになる情報も載っています。

経済レポート専門ニュース

その名の通り、経済に関するレポートをまとめたサイトです。金融系会社が出しているレポートだけではなく、経済産業省・内閣府などの発表もフォローしています。マクロ経済レポートについては、このサイトを見るだけで十分だと思います。

ロイタージャパン

市況速報・金融情報を中心とした、幅広い情報を投資家・メディアへ発信しています。マーケットの信頼性の高い最新情報を知るには便利です。

InfoComニューズレター

株式会社情報通信総合研究所の研究員により作成された、情報通信産業の最新レポートを読むことができます。通信系の銘柄に投資する際は目を通すことをお勧めします。

ここに掲載した方法で良いと思うものがあれば、是非、皆様の情報収集に役立てて下さい。情報源によって、それぞれ情報の質や特徴が異なりますので、自身の目的に合わせて使い分けられるのが一番だと思います。

では、次回は今日ご紹介した各ソースの個別銘柄レポートを比較・解説します。

BY R.I