欧米など6カ国とイランとの核協議の合意で、イランへの経済制裁が緩和されることとなった。これによりイランの自動車産業が動き出しそうだが、背後には様々な思惑があると欧州ニュース専門チャンネル『EuroNews』が報じている。
イランは中東で最大の自動車市場だ。現在、落ち込みが見られるものの、これからの数年で成長が加速すると予測されている。欧州自動車メーカーにとってイランは重要な市場であり、特にフランスのプジョーとルノーが輸入車市場を占めてきた。両社は経済制裁によってイランへの自動車供給ができなくなっていたが、制裁緩和が決まったことにより直ちに現地自動車メーカーとの取引交渉を開始した。
しかし、再進出は一筋縄では行かないようだ。フランス政府が経済制裁時に強硬姿勢をとったことで、フランス以外の欧州諸国に有利に働く可能性がある。実際、現地自動車メーカー『Khodro(ホドロ)』の社長は「現在ルノーやプジョー、スズキと取引があるが、フランス以外のヨーロッパのメーカーからさらにもう一社をパートナーに選ぶつもりだ」と『EuroNews』に語った。
さらに今回の経済制裁を経て、外国製自動車の販売が増加すると国内産業が痛手を受けるという懸念が広まってきている。そのため、現在イランでは顧客の輸入車購買意欲が低下し、不買運動が起きているという。
一方、イランにとっても、自動車産業は原油に次いで大きな割合を占める重要な産業だ。低迷する市場を回復させ、さらなる成長を目指すために現状打破を必要としている。政府が目標として掲げる2021年までに年間生産300万台を達成するには、大手自動車メーカーとの協業が不可欠という事情もある。
とはいえ、課題はあるものの、経済制裁緩和や政府の支援、世界メーカーとの協業により、イランの自動車産業が再興していくことは間違いないと見られている。(ZUU online 編集部)
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