(写真=Thinkstock/Getty Images)

ドイツのメディア大手アクセル・シュプリンガー社が9月29日、米新興経済メディア「ビジネスインサイダー」を3億4300万ドル(約410億円)で買収すると発表した。

買収金額はビジネスインサイダーの今年の収入見込みの9倍に当たり、主要メディアがオンラインのスタートアップ企業の買収に支払った額としては最高になる模様だ。ちなみに米AOLが2011年にハフィントン・ポストを買収した際の金額は3億1500万ドルだった。

デジタルメディアへの転換を模索する既存メディアによる、新興ネットメディアの買収は今後も続きそうだ。


株式の保有比率は88%、残りはAmazonのベゾス氏保有

同社はビジネスインサイダーの株式をすでに若干保有しており、今回の買収で88%を取得。合わせて九十数%の株を保有することになる。残りはAmazonのジェフ・ベゾス氏が保有している。

2007年に誕生したビジネスインサイダーはニューヨークに拠点を置く経済情報専門のメディアで、月間ユニーク・ユーザーは7600万人。米バズフィードを思わせるような目を引くタイトルがついた記事——例えば「スティーブ・ジョブスが発した、15のインスピレーションが湧く言葉」——などで利用者を増やしてきた。しかしいまだ収益を生み出すには至っておらず、収支が合うのは2018年以降と言われてきた。


立ち上げたのはSECから訴えられたこともある元メリルリンチアナリスト

ビジネスインサイダーを立ち上げたのは、米金融大手メリルリンチのアナリストとして働いていたヘンリー・ブロジェット氏、ネット広告の配信インフラ会社ダブルクリックのドワイト・メリーマン氏、ケビン・ライアン氏の3人。シュプリンガー社による買収後も、ブロジェット氏はCEOおよび編集長の座を維持する見込みだ。

ブロジェット氏はジャーナリストから金融界に転じ、1990年代後半のドットコムバブル期、株式アナリストとして名声を築き上げた。アナリストとして推奨した会社の株をプライベートで「ゴミくずだ」と私的なメールに書いていたことが、バブルがはじけた後のニューヨーク州検事総長による調査で発覚。2003年、米証券取引委員会から証券詐欺で民事訴訟を起こされた。罰金200万ドルと不正利益の返還として200万ドルを支払い、ウオール街での勤務禁止措置を受け入れた。

その後はジャーナリズムに戻り、ニュースサイトや本を出版。金融ブログを書き出し、これがのちのビジネスインサイダーとなった。