◆財務戦略は分配金増加にプラス寄与。引き続き支払利息の減少を見込む
日銀による2度の追加緩和を背景に市場金利は一段と低下し、10年国債利回りは0.5%を下回る水準が定着している(図表―10)。
J-REITの負債利子率も低下基調をたどっており、財務戦略が支払利息の減少を通じて分配金の増加に寄与している。J-REITの負債利子率は2007年頃から上昇を開始した。
途中、世界的な金融危機が波及し借入金のリファイナンスに苦労する時期を経験し2010年には1.8%まで上昇した。その後は金融緩和の効果が浸透し、低い金利でのリファイナンスや新規の借入調達のたびに負債利子率が低下し、2015年上期は1.2%である。
J-REITによる投資法人債の発行条件を確認すると、2015年上期の利率は平均0.6%、期間は7.8年であった(図表―11)。良好な資金調達環境のもと、利率の低下と期間の長期化を同時に実現しており、負債利子率の低下余地は依然大きいと考えられる。