(写真=PIXTA)
J-REIT市場は調整局面入り。一方、業績は順調に回復
2015年に入り、J-REIT(不動産投資信託)市場は弱含みで推移している。
過去3年にわたる大幅上昇の反動(*1)や世界経済の減速懸念などを背景に、市場全体の値動きを表わす東証REIT指数は1月の高値(1,990pnt)から9月の安値(1,509pnt)まで一時▲24%下落した。その後は中国や欧州、日本における追加の金融緩和期待から反発したものの、昨年末から▲9%の水準に留まる(図表―1)。
このようにJ-REIT市場が調整局面入りする一方、業績は順調である。各社の開示する半年から1年先の1口当たり予想分配金を集計し、市場全体の分配金水準の推移をみると、東日本大震災後の2011年をボトムに反転し、足もとでは年率5%程度のペースで緩やかに回復している(図表―2)。
当面、オフィス市況の改善や良好な資金調達環境が見込まれるなか、この先の業績悪化リスクはかなり限定的だと思われる。それでは、現在の環境下で今後の分配金成長はどの程度期待できるだろうか。
以下では、最初に、J-REITの運用状況と分配金増加に向けた資産運用会社の3つの運用戦略について確認する。次に、各運用戦略に係わるシナリオ(オフィス賃料、借入金利、物件取得要件)を想定し、簡易収益モデルのもと今後5年間の分配金水準を試算したい。