(写真=PIXTA)
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◆1月の人民元相場(対米国ドル)は3ヵ月連続の元安・ドル高となった。12月の軟調な地合いを引き継いで市場実勢は下落して始まり、8日には当月安値を付けたものの、その後は小反発に転じて結局1月は前月末比で1.3%の元安・ドル高で取引を終えた。

◆2月の市場実勢は1米国ドル=6.5元台で弱含みの展開が続くと予想している。資金流出懸念を背景に軟調地合い継続だが、中国当局が介入で下落を阻止、外貨準備の規模に照らせば下落余地は限られる。但し、基準値と市場実勢の乖離が波乱の芽で、"市場経済国"移行を目指す中国当局が再び基準値を市場実勢に近付ければ、市場が再び混乱する恐れがある。

1月の動き

1月の人民元相場(対米国ドル)は3ヵ月連続の元安・ドル高となった。市場実勢(スポット・オファー、中国外貨取引センター)は、12月の軟調な地合いを引き継いで下落して始まり、8日には当月安値(1米国ドル=6.5963元)を付けたものの、その後は小反発に転じて結局1月は前月末比で1.3%の元安・ドル高で取引を終えた(図表-1)。

前回レポートでは「1月前半は1米国ドル=6.5元台で弱含みの展開が予想されるものの、1月後半には人民元が戻りを試す可能性がある」としていたが、ほぼその想定どおりの展開となった。

但し、人民元の軟調な地合いに変化は見られない。1月に公表された12月の景気指標は予想外に悪化、特に製造業PMI(予想指数)の悪化は大幅で、先行き不安の高まりを示したため、当月安値を付けた8日以降の戻りの勢いは極めて鈍かった。中国当局による基準値の高め設定や元買いドル売り介入(含む警戒感)が人民元相場の下値を支えたに過ぎないと思われる(図表-2)。

最近の人民元と今後の展開1

一方、1月の世界通貨の動きを見ると、日米欧の金融政策に対する思惑が交錯する中で、乱高下した通貨もあったが、結局は米国ドルに対する方向観は定まらずまちまちの動きとなった(図表-3)。

また、1年前と比較すると、中国の通貨(人民元)は米国ドルに対して5%下落したものの、韓国ウォンやタイバーツより小幅な下落で、アジア新興国通貨に対してはやや割高となった(図表-4)。

最近の人民元と今後の展開2