モノを減らすと行動力が高まる!
部屋やデスクを埋め尽くしていたたくさんのモノと訣別した結果、代わりに手に入れたのは「行動力」でした。
モノの雑音がなくなったことで、自分がやりたいことに敏感になり、最小限のモノしか持っていないので、身軽に身ひとつで動けます。自分が行きたいイベントやライブに出かけたり、旅に出たり、会いたい人に会いに行ったり。モノに費やしていたお金やエネルギーが、そのまま〝経験〟に活かされるようになったのです。
僕の部屋にはモノが極端に少ないのでそもそも「散らかる」という概念がありません。モノがなければ、週末にわざわざ時間を作って掃除したり、片づけたりする手間が必要ないとわかったのです。
また、汚れたらその場で掃除する習慣がつきました。僕はズボラな性格なので、片づけの仕組みを作ってそれを維持するのは無理です。モノを減らしてしまうことが、整理整頓の最大の近道だと思います。
気持ちの面でも変化が起きました。将来の不安がなくなったのです。それは、モノがなくても、僕は全然困らないということがわかったから。最低でも10万円を稼ぎ続けることができれば、今の楽しい生活は持続可能です。
ミニマリストを自称する僕ですが、今も昔もモノが大好きです。しかし、欲しいモノを片っ端から手に入れても、それで自信がついたり、幸せになることに直結するわけではないと気づいたのです。
思いつくままにモノを手に入れることで得られる幸せは、手に入れた瞬間をピークに数日や数週間、ときには数時間で過ぎ去り、次の日からは「まだ足りない」と欠乏感が湧いてくるのです。
今では、本当に必要とするモノ、好きなモノだけをとことん厳選して選ぶようになりました。すると、そのモノへの愛着や、モノのもたらす幸福感が続くのです。
モノを極限まで手放したことで、僕は行動力がつき、自由な空間と時間、そして心の余裕まで手に入れることができました。モノを減らすことで、生き方をもっと自分らしく高める──それがミニマリストの整理術なのです。
佐々木典士(ささき・ふみお)ミニマリスト
1979年生まれ。〔株〕ワニブックス勤務。編集者・ミニマリスト。早稲田大学教育学部卒。学研『BOMB 』、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』を経て、現在は書籍編集に従事する。2010年頃から身のまわりのモノを手放し始め、その経験をまとめた『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(ワニブックス)は、12万部を超えるベストセラー。
(取材・構成:麻生泰子 写真撮影:まるやゆういち)(『 The 21 online 』2015年10月号より)
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