今後の展望

中国やASEANなどのアジア新興国では、依然として保険市場は未成熟であるが、既に、中国では保険会社による不動産投資が始まっている。資産規模の大きい中国の大手保険会社は、不動産投資の拡大余地が大きく、また、既に一部の保険会社が積極的に不動産投資を実施している。

一方、保険市場の成熟度が比較的高い台湾や韓国では、保険会社による不動産投資は日本以上に積極的であり、海外不動産投資の事例も少なくない。

アジア各国の保険市場は、依然として規模が小さいものの(図表-2)、日本市場とは状況が異なり、高成長を継続している(図表-4)。これまで、アジアの保険会社による日本国内での不動産取得事例はほとんど確認されていないが、各社の不動産投資スタンスは、積極的あるいは今後拡大する方向といえる。

各国の保険市場および各社の運用資金の拡大に伴い、今後、アジアの保険会社が日本国内で不動産投資を積極化する可能性は小さくないとみられる。

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(*1)増宮 守、「海外資金の国内不動産取得動向・2014年~投資市場の活況がリーマンショック前のピークに迫る~」 ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート2015/3/17
(*3)韓国国民年金公団は、2015年2Q時点で資産全体の3.7%、約1.8兆円を不動産に投資している。
(*4)2009年2月の「改正保険法」の承認、2010年7月の「保険資金運用管理暫定弁法」および8月の「保険資金の運用政策に関する問題を調整するための通知」の発表による。

増宮守(ますみや まもる)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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