3.今後の戦略

2014年3月のジュネーブ国際自動車ショーにて、FCAはジープブランドで初の小型多目的スポーツ車「レネゲート」を世界初公開しました。レネゲートはフィアットの「500L」のラインナップに属しつつ、クライスラーのジープブランドを織り交ぜた、象徴的なモデルとなりました。
フィアットの高級車観と同時に、生産効率を高める方法を採用することで、両社の強みを発揮しながら、世界市場、特に欧米市場のシェア拡大を狙っているものと取ることができます。さらには、今回の経営統合を活かして、トヨタやGMなどが進出を加速している新興国をターゲットとした舵取りも行うことでしょう。 マルキオンネ最高経営責任者(CEO)が、今回の経営統合により規模の拡大を、新興国へのビジネスへつなげないはずはありません。


以上のように、フィアットのクライスラー完全子会社化について、クライスラーの歴史を確認しつつ、今後の展望について紹介させて頂きました。
フィアット傘下にて再出発を行うクライスラーは、もはや以前のクライスラーではなく、FCAとして新たな価値を市場へ提供することになるでしょう。もはや、ビック3というカテゴリーではなく、グローバル市場における新たなメーカーとして生まれ変わったといえます。
単純にフィアット車をクライスラーの生産拠点、販売網を活用して売るといった考えでないという象徴が「レネゲート」です。
今後も新たな価値を創造していかなければ、グローバル市場で生き残ることは不可能であり、まさにゼロベースで新たなブランドを創るというマルキオンネ最高経営責任者(CEO)の決意を、市場は継続注視していくでしょう。

BY SENGOKU: 現在海外在住。中小企業の海外進出プロジェクトのサポート、日本製品のプロモーションに従事。

photo:1963 Chrysler 300 Indy Pace Car / aldenjewell