◎ADRで世界の大企業に投資

ここでADRを簡単におさらいしましょう。
世界の株式に投資する方法としてADRがあります。ADRとは米国預託証券のことでアメリカ以外の企業の株式を預託銀行が発行するものです。アメリカの株式と同じようにアメリカの市場においてドル建てで売買が可能で、株主の議決権行使や配当金も受け取ることができます。アメリカ以外の海外の株式市場に投資する方法としては投資信託やCFDがあります。しかし、個別銘柄の取引を考えた場合には実際にその市場の取り扱いがある証券会社を選定する必要があります。残念ながら今の日本の証券会社では以前より取り扱う市場は増えてはいるものの多くの国の取り扱いはありません。またバイドゥのようにADRでしか取引できない企業もあります。

楽天証券 SBI証券 ともにADRは100銘柄以上の取り扱いがあり、日本円でも米ドルでも決済が可能で、株価情報やレポートも充実しています。ただし、両社とも特定口座の対象とはならないので注意が必要です。また、別の証券会社になりますが、ADRのうちニューヨーク証券取引所やナスダックに上場しているものはADS(米国預託株式)とも言われ、同じバイドゥでもADS銘柄と表現されている場合もあるので、これもご注意ください。

◎中国経済の失速と未来

中国の統計は信頼できないとよく言われますが、そのGDP成長率も2007年の14%超を境に下落基調となり昨年は7%台までに落ち込んできました。PM2.5に代表される環境問題、ウイグル自治区での民族問題、インフラ投資の縮小、資本利益率や労働供給の伸び率の低下など問題は数え出せばキリがありません。今後10年間で経済は急減速すると自ら見解を発表している中国政府は、そういった問題を抱えながら低い成長率へ円滑に進めることを第一のターゲットとしています。

そんな中、中国の失速をものともせず、現在まで大きく成長し続けてきたバイドゥ。まだまだ続くネット市場拡大と新たな戦略。さらなる飛躍に期待してする投資には一考の価値があると思います。

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