中国株市場では投資ファンドの動きが活発だ。 個別株売買が中心だった個人投資家も、最近では公募投資信託を購入するケースが増えている。著名ファンド商品の動きから投資マネーの流れを見てみよう。

ファンドマネーの動きを追え

 公募投信の存在感が日に日に増している。天相投資顧問のまとめによると、公募投信の株式純資産総額(残高)は2021年3月末時点で5兆2700億元(約87兆円)。 A株市場の流通時価総額に占める比率は8.22%で、18年末時点の4.29%から大きく上昇した。

中国の投資家は、概ね四半期毎に公表される各ファンドの運用実績や組み入れ銘柄を常にチェックしている。「どの投信が何の銘柄にシフトしたのか」を細かく精査し、投資のヒントを探るのに必死だ。 最近、ベンチマークとして注目されているのは、地場系大手の易方達基金管理(E Fund Management)のファンドマネージャー、張坤氏が運用する4本のファンドだ。運用規模は計1331億元(約2兆円)で、パフォーマンスも良好。一番人気は「易方達藍筹精選混合」で、主に中国と香港のブルーチップに投資している。21年3月末時点での運用規模は880億元(約1兆4500億円)で、昨年末から約3割増加。中国でも最大規模の投資信託だ。

東洋証券0517
(出所)同花順データより東洋証券作成 ※20/1/2=100として指数化

「明星基金経理(スターファンドマネ-ジャー)」とも言われる張氏のファンドの特徴をまとめると、
◇白酒株をまだまだ買い増し、
◇銀行株も新たに組み入れ、
◇中小型のIT・ハイテクや医薬株に投資、、
◇食品・飲料はウェート引き下げ――などとなる。

グロース株重視の姿勢は大きく変えないものの、金融など従来型セクターにも目配りしているようだ。 具体的に見ると、易方達藍筹精選混合は21年1~3月期で宜賓五糧液を1000万株超買い増し、同銘柄は組入比率トップに躍り出た。貴州茅台酒や瀘州老窖など大手白酒株も揃って買われている。また、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)の2000万株買い増しも目立つ。招商銀行や平安銀行なども新たに上位10社にランクイン。香港株では、香港証券取引所の比率が10.04%まで上昇したほか、美団やテンセントなどニューエコノミー株が投資の中心だ。
香港市場ではチャイナマネーの流入が膨らんでおり、中国地場系ファンドの動きから注目銘柄が分かってくる。規模は大きくはないものの、これも張氏が運用するQDIIファンド「易方達亜洲精選股票」の上位銘柄には、美団やテンセントに加え、京東集団、アリババ集団などネット・ハイテク系が並ぶ。銀行や教育関連のウェートを増しているのも特徴だ。 「ファンドが買えば株価が上がる」と単純にはいかないが、中国の個人投資家は「長い物には巻かれろ」的な特徴もある。他の市場よりは大口マネーの流れについていきやすいと言える。実際、杭州海康威視数字技術や香港証券取引所はファンドの買い増しが伝えられると株価が右肩上がりとなってきた。人気ファンド商品の銘柄入れ替えに沿った中国株投資も一定程度有効だろう。

東洋証券
(出所)QUICKデータより東洋証券作成 ※20/1/2=100として指数化
東洋証券
(出所)QUICKデータより東洋証券作成 ※20/1/2=100として指数化
東洋証券
(出所)東方財富網などより東洋証券作成 ※*は米上場ADR

奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

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