名前を知らない人はいないであろうブランド「ルイ・ヴィトン」。成長著しい新興国含む世界中で愛されているブランドの中のブランドといえるだろう。
日本では若い人の保有率も高く、誰もが持っているブランドのイメージがある。その一方で、ハリウッド女優やスーパーモデル、フランスの代表的な女優カトリーヌ・ドヌーヴ、人気があるミランダ・カーなど世界的に有名な人達の名前をあげればきりがないほどみんなヴィトン愛好家だ。
およそ160年も続いている伝統あるブランド
ブランドの始まりは1854年、腕利きの荷造り木箱製造職人であったルイ・ヴィトン氏がパリで、旅行鞄専門店を創業したことといわれている。
創業後たちまち、その旅行鞄が他の旅行鞄に比べて使いやすさや丈夫なこと、防水性などが高いということがセレブの間で評判となった。
その後およそ160年もの間、ヴィトンの鞄は進化しつづけている。旅行鞄のみならず、いろいろな鞄などを生み出し、世に送りだしてきて、現在までゆるぎないブランドの地位を確立している。
特に旅行鞄からはじまったこともあって、あの有名なタイタニック号にも多くのヴィトンの鞄が積まれていたという。乗客の中にはヴィトンの鞄に捕まって命拾いいしたという逸話もある。
軽くて丈夫で使いやすいという基本的な要素をおさえつつ、斬新なデザインのプロダクトを常に生み続ける姿勢。伝統を重んじつつも、挑戦をやめないブランドの哲学に、富裕層がひかれるのは頷けるというものだ。
どこよりも模倣品対策に力を入れている
ロゴマークのモノグラム・キャンパスは、創業者ルイの息子であるジョルジュ・ヴィトン氏によって誕生した。その誕生の背景には、類似品、偽造問題を撲滅するために考案されたといわれている。
模倣品は創業してまもないころから人気があり、この対策に早くから取り組んでいた。それは今日でも続いており、サステナビリティを世界規模で考えるうえでの長期課題となっている。
いたちごっこと言っていい模倣品対策だが、それでもヴィトンは、世界中のネットワークを通じて監視、摘発を行うなど、ブランドの中でも最も対策に力を入れていると言える。
本物を追求する姿勢に対して、同じ本物志向を求める富裕層の共感を呼ぶ要素があるようだ。
愛されるブランドになるマーケティング力
ヴィトンの特徴として、ハイブランドのステータスを損なうことなく、誰でも気軽に持てるイメージを作っていることがある。
ハイブランドになると、ブランドのイメージを崩さないことを重視するあまり、デザインも、そのブランドイメージを想像しやすいように作られる。またブランドがイメージする、想定しやすい人物が持つことを設定して作られる。
ヴィトンにもそうした側面はもちろんあるが、それに加えて常に新しい取り組みにも挑戦していることが特徴的といえる。
例えばコラボレーション。斬新なクリエイションで知られるデザイナーと組むことで、伝統的なブランドの鞄に、新しいデザインの風を吹かせている。時には見た瞬間に誰もが驚くようなデザインや色展開の商品もある。
ハイブランドになるとどうしても高級なイメージがつき、年配者のモノというレッテルを貼られがちだが、ヴィトンは巧みなイメージ戦略と商品展開で、いつの世も若者に支持されるブランドであり続けている。
伝統を保ちつつ斬新なアイデアやインスピレーションを
様々な製品ラインアップがあるヴィトン。種類を増やしているだけでなく、鞄の防水性を高めたり、軽くしたりと、品質の向上にも取り組んできた。同じように見える商品でも実は進化している。それもブランド力を保ち続ける秘密なのかもしれない。
ビビッドなカラーや村上隆氏とのコラボなどで生まれた日本のアニメを思わせるデザインなど、ハイブランドらしからぬ部分にあえて挑戦するところも、他のブランドにはない魅力として、富裕層の目には映るのだろう。
また品質の保証もさることながら、どんなものでもリペアサービスにも力をいれている点への評価も高い。どの時代に買ったものでも修理できる場所があるというのは、世代を超えて使用できるということに他ならない。
世代を超えて使えるほど丈夫に作られているという意味で、製品の品質の高さを証明している。
希望があれば、いくつかのパターンからイニシャルを入れたりすることもできるので、自分のオリジナルのヴィトンの鞄や小物を持つこともできる。
富裕層は歴史と伝統を重んじる一方で、革新と挑戦の連続こそが歴史になるということが分かっている。旅行鞄の製作を原点とするヴィトンは、冒険心、挑戦する心を忘れずにいつづけたからこそ、長きにわたって世界中の目利きに愛される存在となったのではないだろうか。(ZUU online 編集部)