業績予想は順調な回復を確認する内容
ソニーは画像センサーを生産する熊本工場が被災したことでその影響を見極めるために発表を見送っていた今期の業績予想を24日に公表しました。
営業利益の見通しは前期比2%増の3000億円で、これは一見してアナリストのコンセンサス予想4000億円強の水準を大きく下回るようにみえます。しかし、震災のマイナス影響が1150億円にのぼることを考慮すると、震災の影響を考慮していないとみられるコンセンサス予想を若干上回るものだといえます。
エレキ事業を分野別にみると、画像センサーなどのデバイス分野は400億円の営業赤字の見通しですが震災のマイナス影響600億円を除くと200億円の営業黒字で、前期から500億円近い改善となります。また、テレビなどのホームエンターテイメント&サウンド分野の営業利益は前期比146億円の減益見通しですが、本社費の算出等の変更による141億円のマイナス影響を考慮するとほぼ横ばいだといえます。
そのほかスマホなどのモバイル・コミュニケーション分野は50億円の黒字と小幅ながら黒字に転換する見通しで、構造改革の成果で念願の黒字化がみえてきました。さらにゲーム&ネットワークサービス分野はPS4の販売増などから大幅な増益となる見通しで、ソニーのエレキ事業は順調な回復をみせているといえそうです。
前期は業績の下振れリスクを吸収するためのバッファーを800億円も業績予想に入れていたソニーですが、今期の業績予想にはこうしたバッファーを一切設けていないとのことです。したがって想定外の出来事が業績の下振れに直結するといえますが、一方で構造改革の成果で事業のダウンサイドリスクが大きく低下したとみているソニーの自信のあらわれとみることもできます。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券
シニア・マーケットアナリスト
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