多くの銀行がFinTechの脅威を感じていることは再三、報じられてきた。銀行側もデジタル化と消費者重視のサービスが、今後事業存続の重要な要となると十分に理解しており、様々な対応策で現状を乗り切る構えを見せている。KPMGが発表した「2016年銀行産業の見通し調査」から、調査に協力した米銀行100人のエクゼクティブのうち、8割が今後数年間の利益成長を期待しているほか、6割が「金融革命」に上手く対応していけるという自信を見せている。
具体的には顧客の需要に見合ったアプリやプラットフォームの開発、即時決済の導入などが視野にはいっているようだが、「大手銀行ならではの資力をもってスタートアップを制する」といったところだろうか。
デジタル化にコスト削減はつきもの? 18%が支店縮小を計画
顧客を維持するうえで必須ツールとなったアプリ開発については、92%の回答者がポジティブに受け止めており、そのうち32%が「最高のアプリを開発、提供できる」と答えている。
即時決済サービスの開発についても70%が「事業にとって利益となるのであれば検討する」という見解を示している。しかし52%は「1、2年間様子を見てから導入を決定する」と、今はまだ観察期間であることを示唆。
そのほか顧客とより密着した関係を築く目的で「新しい投資サービスツールの開発(51%)」「IRA(個人退職口座)やCD(譲渡性預金)などの販売(38%)」「プリペードカードの販売(16%)」などが検討されている。
事業の効率化という点では、デジタル化を進めると同時にコスト削減も避けては通れないようだ。37%が「物理的な視点を1%から10%増やす」計画だが、18%が「支店を縮小する」と回答した。
支店業務の改善点としては72%が「口座開設から取引まで対応可能なデジタル・セルフサービスの開発」を最優先事項にしている。
こうした改革を着実に進行させることが「今後数年にわたり利益を生み出す」と信じている回答者は87%にもおよぶ。果たして銀行の思惑通りに消費者の関心を勝ち取ることができるのだろうか。( FinTech online編集部 )
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