自分の思いをストレートに伝えてしまう

次のステップでは、相手に話をしてもらうために場を温め、心を開いてもらいます。

その際、大切なのは相手を褒めること。ただ、お世辞では意味がありません。たいして興味もないのに「その時計、素敵ですね」と言ったところで、相手の心は開きません。「どうせ、誰にでも言っているのだろうな」と思われるのが関の山です。だからこそ、「相手を好きになること」が鍵となります。

そして、心から「いいな」と思ったところを褒めるのです。コツは、どんな小さなことでもいいので、観察して相手の好きなところを見つけることです。これは、綺麗ごとでもなんでもなくて、コミュニケーションテクニックの一つ。

人は、自分に興味のない相手に対して心は開かないものですが、反対に、好いてくれている人には自然と口を開くのです。心を開けば、質問にも答えてくれやすくなるでしょう。

そしていよいよ、実際に質問する段階では、興味の赴くままに、素直に思いを言葉にするのが一番です。

たとえば名刺交換。氏名や会社の住所、肩書などを手掛かりに質問できる場面ですが、ときどき、名前以外の情報が何も書かれていない名刺がありますよね。

ここで「あれこれ詮索しては失礼なのだろうか?」と思ったら、その思いも含めて聞いてしまいましょう。「シンプルなデザインですね。お仕事内容などお聞きしてはいけないのだろうか、と思ってしまったのですが」と言ってみると、「いや、こういうデザインが好きなだけなんですよ。私の仕事は……」と、相手も素直に返してくれるでしょう。

相手の返事が予想外に素っ気ないものだったときにも、この手法は活用できます。たとえば、パーティの場でワインを手にしている相手に、「ワインがお好きなのですか」と聞いて、「いいえ」と意外な答えが返ってきても、「お好きではないのですね。ワインを飲んでらしたので、お好きなのかと思ったものですから」と素直に気持ちを言えば、会話は途切れません。

相手も「あいにく好みのお酒がなくて……」といった答えを返しやすくなり、「そうなんですね。どんなお酒がお好みなんですか?」と次の質問にもつなげられます。