昨2015年から順調に値上がりを続けていたビットコインだが、世界経済への不安、4000万ドル(約40億7040万円)相当の被害をだしたDAOハッキング事件、そして歴史的な英国のEU離脱決定を受け、過去2週間は類を見ない「価格のジェットコースター」となった。
セキュリティーへの不安から価格が急降下後、今度はビットコインを金や米国債に匹敵する「世界共通の資産」と見なした投資家が、激しい勢いで殺到し急騰した。
世論は「仮想通貨を安全な資産と見なすには、まだ時期尚早だ」という意見と、「今後安定資産としての地位を確立する」という意見にわかれている。
英EU離脱は仮想通貨発展のチャンス?
ビットコイン価格の過去1年間の変動を見てみると、昨年10月までは長い間250ドル(約2万5500円)前後をさまよっていたが、10月に入って400ドル(約4万704円)台に浮上。5月末には500ドル(約5万880円)台の大台に乗り、DAOハッキング事件が報じられる直前の6月17日には768.24ドル(約7万8176円)というピークに達したが、終値は631.72ドル(約6万4283円)まで急降下。
英国離脱をはかる国民投票当日には631.99ドル(約6万4311円)、離脱が発表された翌日から再びジワジワと浮上し、26日現在673.09ドル(約6万8493円)--と、目まぐるしいことこのうえない。
金融市場の動揺が瞬く間に消費者間に広がり、ビットコインとともに円と金を買い込む投資家が続出した結果である。
そんな中、米資産管理会社、Needham&Companyは、最新の調査レポートの中で「ビットコインは高リスクで変動が高い投資商品だ」と警告。「従来の金などの安全資産と同等扱いにするには、まだまだ時間を要する」と注意を促している。
一方ビットコイン・ウォレット会社、iPayYouのジーン・カヴナーCEOのように、180度異なる見解もある。カヴナー氏は「各国の金融政策の失敗が、現金の価値をさげた」と指摘し、「政府の介入を受けない仮想通貨は、今後安全な資産として成熟していくだろう」とビットコインを含む仮想通貨の未来に希望を抱いている。
しかし世界経済の不透明性を濃厚にした英離脱については、Needham&Companyも「仮想通貨市場にポジティブな影響をもたらす機会となる」ことを認めている。
仮想通貨を促進するチャンスがどれだけ大きく、どれほどの期間継続するかはすべて今後の世界経済の動き次第だろう。( FinTech online編集部 )
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