米シティグループの国際調査部門、シティリサーチがブロックチェーンや仮想通貨の可能性を検証するレポートを発表し、「銀行にとってブロックチェーンは脅威ではなく、補足的なサービス」と、最先端のテクノロジーとの共存に非常にポジティブな見解を示した。
仮想通貨については「特に新興国では便利なツール」と理解を示している一方で、従来の決済手段を打ち負かす可能性は否定。大手銀行の余裕を見せている。
ビットコイン手数料は将来的に値上がりする?
FinTechに力をいれている大手国際銀行の一つシティは、6月30日に発表された56ページにおよぶレポートの中で、ブロックチェーンをほかのテクノロジーと組み合わせることで、「IoTをサポートするアプリなど、真の革命が生み出せる可能性を秘めた技術」としている。
シティは2016年1月、ドイツ証券取引所やJPモルガン・チェースとともに、デジタル・アセット・ホールディングスに総額5億ドル(約513億4000万円)を投じ、革命的ソリューションを目指してブロックチェーン開発を進めている。
仮想通貨に関しては「決済手段が発展していない新興国では、主流になれる可能性がある」と、否定的はしない代わりに肯定もしないというスタンス。「ブロックチェーンの特性である不変性や永久性が、仮想通貨に適用されるかーーという点を、見極めるのに時間を要する」としている。
レポートではビットコインを「オルタナ海外送金ツール」としても検証。低コストな海外送金で話題の英TranserWiseを引き合いにだし、従来のオンライン送金法とも手数料を比較している。
3つの海外送金手段の中で、平均的に最も低コストなのはTranserWise。従来の送金法が平均3.86%、ビットコインが3.38%なのに対し、TranserWiseは1.48%だ。
シティは仮想通貨が電力を消費することで機能する「プルーフ・オブ・ワーク」システムで構成されているため、将来的には手数料がさらに値上がりし、いずれ従来の送金法より高額になる可能性を示唆している。そうなれば消費者にとって仮想通貨を利用する価値が半減してしまう。
また送金完了の所要時間や安定性についても、「従来の送金法より優れているとは思えない」ため、やはりビットコインのようなネットワークも「IoTやビッグデータといった他のテクノロジーと組合すことで、新たなモデルを創出可能だろう」と結論づけている。( FinTech online編集部 )
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