処理スピードが上がる2つのテクニック

大量の資料を素早く読むコツは、他にもあります。1つ目は、「タイトル」だけを目で追う「タイトル読み」です。タイトルは、資料の中にある見出しや小見出しのようなものも含みます。これらはまとまりごとの要点を短い言葉でまとめたものなので、それらをざっと目で追うだけで、資料の概要を把握することができるのです。

もう1つは、最初にキーワードを設定し、そのキーワードが出てくる箇所だけを読む「キーワード読み」です。

資料を読む目的が明確になった段階で、「契約内容」や「予算」など、キーワードがある程度見えているはずです。自分の役割をふまえて、「何に重点を置いて資料を読むべきか」が明らかになれば、それがキーワードです。

キーワードさえ決まれば、あとはそのキーワードが出てくる場所の周辺を読めば、キーワードに関連した情報に最短距離でアクセスできます。この方法は、最初に読むべき資料を探すために、全体に目を通さなければならない場合にも効果的です。

極論を言えば、大量の資料や情報に取りかかる前に、そこに何が書かれているのか予測できることが理想です。「こんな情報があったのか」といった驚きは少ないほうがいいと私は思っています。大体の内容や問題点を予想したうえで情報に当たり、特殊な部分があればそこを重点的に見る。それが大量の情報を早く処理するコツなのです。

木山泰嗣(きやま ひろつぐ)税法研究者・弁護士
1974年、横浜生まれ。上智大学法学部卒。2003年から15年3月まで鳥飼総合法律事務所で税務訴訟を手がけた(現在は同事務所客員弁護士)。15年4月から青山学院大学法学部教授に就任し、税法研究と法学教育に携わる。『情報をさばく技術』(日本実業出版社)、『反論する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。(取材・構成:前田はるみ)(『 The 21 online 』2016年6月号より)

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