相手の趣味の話にムリに合わせるのはNG
キーパーソンから本音を引き出すために、赤羽氏はどんな雑談をしているのだろうか。
「コンサルタントと、クライアント企業の役員などキーパーソンとの間には、心の距離があります。その距離を縮めるには、やはり、仕事と直接関係しない、趣味などの話をするのが一番です」
雑談を盛り上げるには、相手の趣味を調べて、その話を投げかけるといい。そんなことがよく言われるが、赤羽氏は、相手の趣味について知識がなければ、ムリにその話をしないという。
「本当にその話をしたがっているのか、ビジネスのために相手に話を合わせているのかなんて、一発でわかります。『コイツ、取り入ろうとしているな』と思われたら逆効果。いっそう心の距離が遠のいてしまいます」
では、どうすればいいのか。赤羽氏が勧めるのは、趣味と言えるものをいくつかは持っておき、深く話せるようにしておくことだ。
「映画、ミュージカル、ラグビー、テニス、料理……。なんでもかまいません。うまく趣味が合えば意気投合できるし、合わなくても『アメリカンフットボールはわからないんですが、ラグビーは好きなんです』などと言って話ができる。すると、ウソのない自然な雑談になりますし、自分の人となりも伝わります。ムリに趣味を合わせる必要はないのです」
もし趣味がなければ、いろいろな趣味を試して、自分が好きになれそうなものを探しておくことが大切だ。
「たとえば、私は週末にテニスをし、ピアノも弾いていたし、ミュージカル鑑賞も好きなのですが、最初はミュージカルには関心がありませんでした。きっかけは、マッキンゼーに入社後、ニューヨークで仕事をしたこと。休日に散歩中、ブロードウェイで当日券を半額で売っている店を見つけ、『42nd Street』というミュージカルをなんとなく観たら、すごくはまってしまったのです。何が自分に合うかはやってみないとわからない。趣味にもある程度の時間と若干のお金を投資することが大切です」