「鉄の女」と呼ばれたサッチャー氏以来の女性首相誕生が決まった英国。だが、Brexit によるマーケットの動揺は未だ収まらずにいる。金融機関のロンドン・シティからの脱出がうわさされるなど、サッチャー首相が改革した英国病が再発するのか、世界各国が関心を寄せている。
一方、6月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が大幅に改善した米国。市場予想を上回り、前月比約28万人増という結果を受けて、米国株式市場は年初来最高値を更新した。だが、為替市場では一時1ドル99円台を付けるも再び105円台を回復するなど、乱高下をしている。
こんな気が休まらない相場が続くと投資判断に悩むが、賢人の考えにヒントを探してみよう。
賢人バフェットの師、そのたとえ話は「言い得て妙」
オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏をご存じの方は多いだろうが、その師であるベンジャミン・グレアム氏も忘れてはいけない。バリュー投資の父として『証券分析』『賢明なる投資家』のベストセラー2冊を出版した経済学者である。今年で没後40年となるが、今なお彼が説いた投資手法は色あせない。
バークシャー・ハサウェイ会長兼CEOのバフェット氏は、グレアムから学んだバリュー投資を元に世界有数の資産を築いた。バフェット氏は、彼を父親に次いで影響を受けた人物として尊敬しており、自分の子供にグレアムと名付けたほどだ。
そのグレアム氏のたとえ話の中に「市場とのつきあい方」を言い表したものがある。
株式市場は情緒不安定なパートナー、「ミスター・マーケット」そのもの。彼らは会社を売り買いするための値段を提示し、時にとんでもない値段を提示したりするけれど、何度断ってもいつも違う値段を提示してくる。機嫌のよいときは会社の将来をバラ色だといって、法外な値段をふっかけてくるが、機嫌の悪いときには会社の将来は絶望的で真っ暗闇だといって、これまたとんでもない安値を示してくる。
投資をするというのは、情緒不安定なビジネスパートナーと付き合うのと同じだ、というたとえだ。彼に振り回されていると、まったく正しい意思決定ができずに、高値で買って安値で売るようなことをしてしまう。