深川市
(写真=PIXTA)

「100坪980円」で驚きの呼びこみ策を提示した北海道の深川市

北海道深川市が「宅地100坪980円」で移住者を募り、話題となりました。北海道の人口は1997年の約570万人をピークに、その後減り続けています。2010年には約550万人となり、2040年には419万人まで減少するとみられています。全国よりも10年早く人口減少期に入っており、道内の各自治体は早くから移住者の誘致に熱心でした。

北海道をアピールする際には「大自然が身近・空気がきれい・水や食べ物が美味しい」といったフレーズが頻出します。ただ、日本全国の各自治体が人口減少期に入りつつある今、どこも同じように自然環境や食の豊かさをアピールしています。イメージ先行の移住促進策では限界があり、他の地域とは違った魅力を打ち出す必要があります。

深川市は「宅地100坪980円」で金銭面での移住メリットを大きく打ち出し、全国のニュースで取り上げられることに成功しました。半世紀にわたって道外への転出超過が続く北海道では、男性の転出超過が顕著です。そのため三大都市圏在住の20~50代の男性が移住者のターゲットとなっており、この層の取り込みに熱心です。インターチェンジやJRの駅近くの市有地が100坪980円で手に入るというのは、反響の大きさを考えればターゲット層に十分届いたといえるでしょう。

しかも深川市は、年間500万人以上が訪れる国際観光都市・旭川市と30キロほどしか離れていません。旭川市には空港もあれば国立の医大もあります。移住促進には職業の確保が欠かせませんが、移住後の仕事についても一次産業以外の現実的な選択肢があるのです。