「宅地100坪980円」移住策の中身はどうなっていたのか
深川市の移住促進策「宅地100坪980円」の内容は以下のようなものでした。
・道央自動車道・深川インターチェンジに近い音江町「緑が丘団地」の2区画
・JR納内駅に近い納内町「ビオス四季の里」の7区画
・1区画は約100坪(330平方メートル)
・契約後18か月以内に敷地面積70平方メートル以上の住宅建設が必須
・下水道などのライフラインは既に敷設済み
・住民登録が必要
2015年10月末日で「宅地100坪980円」プランの申し込みは終了しています。現在でも市有地の売却は価格を改定して継続中で、先着順で受け付け中です。固定資産税評価額が80万から120万円の土地を980円で放出した同プランは、破格といえます。音江町には深川市が用意した移住体験住宅「四季の丘 おとえ」および「四季の丘 おとえpart2」があります。夏季は満室になる状況で、移住希望者が決して少なくないことがうかがえます。事実、2013年度は14件41人が深川市へと移住しました。
深川市では移住・定住の案内窓口として「ワンストップ窓口」を設置し、専任の担当者を置いて移住希望者の相談にのっています。その他にも「ふかがわ1Dayツアー」や「ふかがわお試し移住」「ふかがわのんびり暮らし」という、日帰りで分譲地や深川市内をめぐる、あるいは基本的な生活用品を備えたコテージでの暮らしを短期から長期まで体験できるプランを用意しています。
「移住したのはいいけれど・・・」とならないために、気を付けるポイントは?
「ワンストップ窓口」を設置して移住者の誘致を積極的にすすめる自治体であれば、コミュニティ形成への適切な関与も期待できます。移住を成功に導き、あとに続く移住者が現れるか否かは、コミュニティの形成に大きく左右されます。中古マンションの購入に際しては、「管理を買え」とよく言われます。建物や立地に特段のメリットが見出せない時は、良好な管理体制やそれを育んだコミュニティの有無に着目してみましょう。
今後、日本全国、どこの自治体も人口減少に悩まされることとなります。一方、大都市は一極集中が加速し、都市居住者は住居費や教育費の高騰など、さまざまなコスト増に悩まされると予想されています。都市には立地をはじめ環境が揃っている住まいがある一方で、それを手に入れるのがますます難しくなっていきます。
ところが地方に目を転じれば、状況は一変します。良好な管理体制やそれを育むコミュニティを用意している地方自治体があり、「宅地100坪980円」で移住者を募った深川市のように、移住促進策だけでなく子育て支援策など暮らしやすさを重視した施策を打ち出しているところもあります。
地方では、人数が少ないだけに行政まかせにせず、住民もコミュニティの中で何かしらの役割を果たすことが期待されます。コミュニティ内での役割を担うのが苦手な人は、地方での暮らしには向かないでしょう。しかしながら、そうしたことが苦にならない人であれば、コミュニティ形成を少人数で学ぶことができるチャンスとなり得ます。
「北海道ふるさと移住定住推進センター」では、仕事情報と住まいの情報が集約されたホームページを2016年1月に公開しており、住まいと並んで懸念となる仕事に関する情報も集めやすくなっています。(提供: nezas )
【関連記事 nezas】
・
【特集】「保育園落ちた 日本死ね」騒動は一体何だったのか?
・
地方銀行はなぜ証券会社設立を目指すのか?
・
女性再就職支援で地銀が連携! 変化する地方での働き方
・
Iターン経験者が語る「Iターンをすすめる3つの理由」
・
田舎で農業のライフスタイルとは? 移住者体験談