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バイオガスプラント全景(写真提供=別海バイオガス発電、北海道別海町)

北海道や九州など酪農や畜産の盛んな地域で、やっかいものになってきた家畜のふんを利用したバイオガス発電に注目が集まっている。北海道別海町では国内最大規模のバイオガス発電所が稼働から1年を迎えた。鹿児島県長島町では2018年度の運用開始を目指し、地域エネルギー会社が設立された。

両町の事業が順調に進めば、酪農、畜産地域でエネルギーの地産地消に道が開かれることになる。これまで欧米に後れを取ってきたバイオガス発電は、日本に根づくのだろうか。

北欧やドイツでは早くから導入

経済産業省などによると、バイオガス発電は家畜のふんや食品廃棄物、木質廃材などの有機ごみからバイオガスを生成し、それを燃やして発電する方法。同じ生物資源を燃料に使うバイオマス発電が有機ごみを直接燃やすのに対し、バイオガス発電はいったん発酵させて抽出したガスを燃やす点が異なる。

再生可能エネルギーの1つに数えられるが、太陽光発電や風力発電と異なり、天候に左右されずに電力を安定して確保することができる点が最大のメリットだ。ほかに発酵の際に残った副産物が液体肥料などとして使えるばかりか、ほとんど臭いを発生せず、温室効果ガスを大量に排出しないことも大きな利点となる。

環境先進国として知られる北欧やドイツでは、バイオガス発電の導入が早くから始まった。ベトナムやミャンマーなど東南アジアでも、クリーンエネルギーとして導入する国が増えている。

しかし、日本ではまだ本格的な導入が始まったばかりで、研究目的を除いて事業として成立している施設が少ない。国の再生可能エネルギー固定価格買取制度で認定を受けた施設も、自家発電を少し大きくした程度の小規模施設がほとんどだ。

このため、国産プラントよりドイツなど海外プラントの方に優れたものが多いとされ、運用ノウハウについてもまだ発展途上といわれている。