機能性表示のトマトジュースが予想以上に好調
カゴメが2日に発表した上期(1-6月期)決算は売上高が前年同期比4.6%増収の938億円、営業利益が同77.2%増益の55億円となり、営業利益は当初の計画を29億円も上回っての着地となりました。
機能性表示のトマトジュースが好調だったことに加え、25年ぶりのトマトケチャップとソースの値上げ効果、さらに原価低減や不採算商品の見直し、固定費削減もあって営業利益は大幅な増収となっています。
こうした上期決算を受けてカゴメでは先月26日に上期の決算発表に先立って通期の営業利益予想を70億円から92億円へと上方修正しています。
しかし、通期予想は増額しながら、下期だけに限ってみると従来の44億円から37億円へと下方修正され、昨年の下期並みの水準に止まる計画となっています。機能性表示のトマトジュースの効果が薄れることや、広告宣伝費の増加を見込んでいるためとの説明ですが、上期の好調な実績からすると保守的な印象を受けます。
上期に大きな伸びをみせた機能性表示のトマトジュースですが、これは数ある機能性表示食品のなかで数少ない成功例だといえます。従来からある慣れ親しんだ商品に機能性表示を付けたことが消費者に受け入れられたというのがカゴメの分析で、カゴメでは今後も従来製品に機能性表示を付けることを検討しています。
機能性表示のトマトジュースの伸びの鈍化が今後見込まれるなか、新しい機能性表示の商品でそれをカバーできるかがトップラインの堅調な伸びを維持するうえでのポイントとなりそうです。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券
シニア・マーケットアナリスト
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