英国では2016年の銀行による新卒採用率が、昨年から8%減。過去最低の水準に落ちこんだことが判明した。
全体的な新卒募集率も7.9%減り、2015年までは4年間連続で増加傾向にあったことから、今年6月の英EU離脱投票の結果が、若者の雇用にまで影響したと推測されている。
新卒雇用の環境に変化 ますますあがる内定獲得のハードル
この調査は英国で1968年に発足した「新卒採用協会(AGR)」が、154の企業を対象に今年の採用情報を調査したものだ。
2012年から2015年にかけて著しい増加を見せた新卒の雇用口が、2万1427から1万9732に減っており、特に調査が実施されたBrexit決定直後(6月から7月にかけて)の失速が目立つ。
しかし野村インターナショナル・ロンドンは、Brexitによる雇用縮小を否定。応募者の70%から75%を採用したと発表。バークレイズ銀行の採用率にも、特に変動がなかったと報告されている。
AGRのチーフ・エクゼクティブ、ステファン・イシャウッド氏は、若年層の雇用口が縮小された直接的な原因として、雇用側が「アプレンティス(見習制度)」により大きな比重を置き始めたことを挙げている。
大きく落ちこんだ新卒雇用とは対照的に、アプレンティスによる見習就労者の募集件数は毎年13%増えており、調査に協力した企業の10%が「新卒用の採用口を見習就労者に回した」と回答している。
つまり新卒生を採用するよりも、見習就労者の採用に力をいれるという新たな風潮が、銀行を含む企業間で浸透し始めたことが、新卒生の就職難の真相のようだ。企業にとっては若い才能を育てると同時に、人件費が大きく節約できるという利点がある。
Brexitによる先行きの不透明さがこの風潮を加速させるであろうことは、ほぼ間違いないだろう。そうなれば今度はアプレンティス内で、見習い口競争が生じる可能性もある。
オンライン・リクルートサイトの取材に応じたバークレイズ銀行の販売・トレーディング部門のインターンは、「新卒生の低採用は英国だけではなく、世界的な現象という印象を受ける」と語っている。
金融機関における新卒雇用の環境が変化の兆しを見せていることは明らかで、内定獲得のハードルがますます高くなっている。
モルガン・スタンリーは一部の2017年新卒採用の応募を、8月下旬に早々に締めきったほか、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースは面接の効率化を図る目的で、デジタル・インタビュー・システム「HireVue」を導入するなど、銀行は「より適切で即戦力となる可能性を秘めた人材」の発掘に本腰を入れている。
いずれにせよ新卒生にとっては試練の時代となりそうだ。( FinTech online編集部 )
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