「UKの銀行に就職・出世するには、上位中流階級出身でない限り非常に難しい」という、衝撃の調査結果が報告された。
裕福な両親、私立校卒という背景がない場合、就職できたとしても本社勤務にまわされる可能性は著しく低いという。英国全体に根強く残る階級制度が、まざまざと浮き彫りになった。
裕福でないと獲得できない「採用基準」が山盛り
この調査は「Social Mobility Commission(社会的移動委員会)」が、ロイヤル・ホロウェイ(ロンドン大学)とバーミンガム大学の協力によって発表したものだ。
UKでは82%が公立校を卒業しているにも関わらず、銀行員の49%は私立出身で、そのうち51%が何らかの役職に就いている。
公立出身であるならば、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)、インペリアル・カレッジ・ロンドンといった、いわゆるエリート大学からの新卒者が好むまれる。
しかしここがIQだけでは勝負できない点で、銀行は「勉強以外の課外活動(スポーツ、アートなどのクラブやボランティア)を続けていた生徒」を高く評価する。
裕福な家庭の生まれでない限り、「高校時代も大学時代は、学費や生活費の足しにするためにバイトで明け暮れた」という苦学生の姿は世界共通だろう。つまり銀行の好むクリエイティブな生徒は、必然的に上位中流階級以上出身というパターンにおちいりやすい。
ファイナンスの修士号である「MiF」の取得も有利に作用するが、受講料も庶民には手がでにくい。LSEのMiFコースは、2016年8月の時点で4万1650ポンド(約430万2861円)。学資ローンや奨学金制度もあるが、裕福な両親に頼んだ方が手っ取り早いのは間違いない。
また英語ではアクセントによって階級が判断される。面接時に上品な口調の応募者は採用候補、中流階級以下の口調の応募者は却下という具合に、ふるいにかけられる。
実際に大手銀行に就職できた中流階級出身の銀行員は、面接官の上品さに衝撃を受け、入手に向けて「お金持ち風アクセントを猛特訓した」そうだ。
さらには服装にも上品さが漂っていることが求められるため、やはりいいスーツや靴をそろえる経済的な余裕がない応募者には、チャンスがないということになる。
そのほか裕福さから生まれる自信、裕福な人脈関係が銀行にもたらす恩恵(家族や知人が自社の商品やサービスを購入してくれる可能性など)といった数々の要素が、エリートUK銀行員としての花道を築く条件だ。
不公平に感じるものの、これもある種の「富が富を生む法則」なのだろう。( FinTech online編集部 )
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