スペインのサンタンデール銀行は9月6日、「ビットコインはクレジットカードの脅威となる」とのレポートを発表した。
ブロックチェーン技術がコスト削減に成功すれば、VisaやMaster Cardといった国際大手クレジットブランドに恩恵をもたらす反面、発行元であるクレジット業者やSWIFT(国際銀行間通信協会)などは苦戦を強いられる可能性が高いと結論づけている。
カードブランド、銀行間で繰り広げられる「共存競争」
このレポートはサンタンデール銀行が8月23日に主催した、協議会で交わされた内容をまとめたものだ。協議にはサンタンデール研究所、サンタンデール投資証券に加え、南米最大のビットコイン取引所、ブラジルのメルカード・ビットコインや地元の投資家が参加した。
サンタンデールはビットコインの全面的な普及が長期戦となることを認めると同時に、「時としてテクノロジーは閃光のように普及する」と、時間の問題であるとの見解をほのめかしている。
レポートの中ではビットコイン決済と従来のカード決済の利点が比較されており、決済速度、手数料、取引処理コストなど、様々な面でビットコインが優位に立っている。
またビットコイン取り扱い企業も着実に増加傾向にあり、2014年10月の時点ですでに6万4000社を突破したと報告されている。
ビットコイン市場の拡大とともに、決済産業に激震が走ることは確実だ。クレジットブランドにとってはコスト削減という重要な恩恵が期待できるものの、特にシエロ(ブラジル最大のカード発行会社)に代表されるクレジットカード業者や、ビットコインに圧迫される可能性が高いとサンタンデールは見ている。
ブロックチェーンとの共存の道を選んだVisaなどのブランドと、あくまでカードの発行元である業者では、まったく異なる未来が待ち受けているというわけだ。
しかし同じカード発行元でも銀行となるとまた話が別のようで、時代にとり残されることをいち早く懸念した大手銀行は、次々にブロックチェーンに関する研究を進めている。
つまりクレジットカード産業においても、存続をかけた「共存競争」が繰り広げられているといったところだろう。( FinTech online編集部 )
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