「子育てしながらキャリアを目指す」という新しいスタイルの発信源であったはずの米国で、託児所を構内に設ける大学が減少傾向にあるという。

現在約500万人の「子連れ学生」が様々な分野でキャリアアップのために学んでいる米国だが、支援金で賄われていた託児所施設や育児手当などへの予算削減などが相次ぎ、子育てと学業の両立が困難になりつつあるようだ。

低所得家庭の収入の4割が託児費に消える

日本でも珍しくなくなった「社会人学生」だが、その多くが子育てと学業の両立の板挟みになっているのが現状だ。中には正社員やパート勤務をこなしている学生もおり、そうした多忙な生活スタイルを支援するという意図で、託児所施設を設ける大学が増えている。
しかし社会人学生に早くから理解を示し、支援してきたはずの米国では、託児所サービスを提供している4年制の公立大学および専門学校が、過去10年間で55%前後から45%前後にまで減少している。

インスティテュート・フォー・ウーマンズ・ポリシー・リサーチ(IWPR)の調査によると、カリフォルニア州、ワシントン州、ネバダ州、アイダホ州など西部では、現在も60%以上の4年制大学が託児所サービスを提供しているが、テキサス州、オクラホマ州、アーカンソー州などの南部では20%から40%、ルイジアナ州ではそれ以下に落ちこんでいる。

36の州で予算削減が実施され、州によっては利用条件が「正社員として仕事と学業を両立させている生徒限定」など、相当厳しくなったという。

こうした援助の縮小は、社会人学生の将来性を阻みかねない。経済面でも精神面でも、「学びたいけれど現実的には難しい」と諦めてしまう社会人を、増やす結果が懸念される。
例えばミシシッピ州における平均的な託児所費は年間4822ドル(約49万1506円)だが、マサチューセッツ州では1万7062ドル(約173万9129円)と約4倍に跳ねあがる。

一般的な低所得家庭(月間所得1500ドル/約15万2895円以下)では、収入の40%が託児所費に流れていると報告されており、ここに学費が加わるとなると日々の生活が成り立たない。

つまり格安で利用可能な大学の託児所サービスが少なくなればなるほど、これらの層にとっては「勉強するのは夢のまた夢」ということになる。

IWPRは、これらの国民の夢を叶え、生活向上を支援するために、政府の資金援助が必要であることを強く呼びかけている。( FinTech online編集部

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