ドイツ銀行のジョン・クライアンCEOは、「テクノロジー企業であるという意識をもつように」との意向を示した書簡を、従業員に向けて公開した。
大規模なデジタル改革を実施中のドイツ銀行だが、最低でも38億ドル(約3889億3000万円)と予想されている改革予算と、それにともなう3万人の従業員解雇による犠牲から、最大限の収穫を勝ちとろうという意気込みが痛いほどに伝わってくる。
クライアンCEO「従業員は自らの判断に自信を持って仕事に励むべき」
クライアンCEOは書簡の中で、単に予算を投じてデジタル化するだけではなく、「業務に対する従業員の意識改革」が重要なカギを握っていると強調。
自らの柔軟性に欠ける階層構造化された日々の業務が、いかに非効率的かを例に挙げ、従業員は上層部からの指示を待つために時間を浪費せず、「自らの判断に自信を持って、独立心に富んだ働きを期待している」見解を明らかにした。
型通りのプロセスに束縛された従来の銀行という概念を取り払い、効率性と結果を追求するテクノロジー企業の思想を持つようにという、CEO直々の強力なメッセージだ。
また9月中にダブリンに新たなデータ分析研究所を設けるほか、ラスベガスでは2日間にわたるテクノロジー・カンファレンスの開催を予定しているなど、着実にデジタル化に向けて前進している。
今年6月、コストを理由にデジタル改革が保留されたと報じられていたドイツ銀行だけに、こうした精力的な動きはある意味青天の霹靂といった感がある。
しかし報道があった時点で、すでに10億ユーロ(約1152億2563万円)がデジタル化の予算として組みこまれていたこともあり、クライアンCEOは「一部のデジタル化は決行する」とコメントしていた。
その後8月にサンタンデール銀行、UBS、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンとの提携により、デジタル通貨研究にも乗りだしているところを見ると、「一部」というには改革が広範囲におよんでいるような印象を受ける。
ドイツ銀行がどれほどの規模の改革を意図しているのは定かではないが、組織再編には長い時間と大きな労力を要する事実を認めると同時に、「自分の立ち位置を意識し、起業家精神を見せろ」と従業員を奮い立たせるなど、クライアンCEOがドイツ銀行をデジタルバンクとして変貌させる野望に燃えていることは確かだ。( FinTech online編集部 )
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