金融機関の人事担当者向けのセミナー「金融機関が盛り上げるFinTech! ~FinTechを加速させる「ITエンジニア」を採用する~」が9月5日夜、東京・丸の内のインテリジェンスで行われた。金融機関の人事担当者ら約15人が出席、証券会社に勤務しているITエンジニアらを招いたパネルディスカッションやFinTechの将来についての講演などが行われた。
エンジニアを迎えてパネルディスカッション開催
主催したのはインテリジェンス。同社は金融業界での求人案件を多数抱えており、FinTech分野での人材紹介に注力している。ITエンジニアなど求職者からの相談も増えていることから、金融機関にいいエンジニア人材を採用してもらいたいとの考えから、人事担当者を招いてのセミナーイベントを開催することにした。
イベントでは冒頭、ZUU取締役でFinTech推進支援室長の一村明博氏が「注目されるFinTech。現状と今後の方向性とは?」と題して講演。銀行や証券会社など金融機関のFinTech推進を支援している同社の取り組みや、地銀の最近の動向を紹介。多くの金融機関が抱えている課題を指摘したうえで、その解決のためにFinTechができること、その可能性や将来像を示唆した。
その後は同日のメーンイベントであるITエンジニアによるパネルディスカッションが行われた。前出の一村氏が司会となり、証券会社に勤務しているエンジニアAさんと、金融業界での勤務経験のないエンジニアBさんの2人が登壇。なぜ金融業界を選んだのか、業務内容について日ごろ感じていることなどについて話した。
ともにSIer出身だという両者に転職の理由や決め手についてたずねたところ、証券会社勤務のエンジニアAさんは「人生の大きな決断だったが、やりがいを重視した。よりよい仕事ができるかどうかを吟味した」との回答。Bさんは現在、人材業界で新規事業開発に従事しているといい、「SIer時代はできあがったものの保守や運用が多く、技術のスキルアップができる業界、会社に行きたかった」と答えていた。
金融業界に移ってみての印象や感じていることを問われたAさんは、以前SIerで多くのプロジェクトのPM(プロジェクトマネジャー)をやった経験が生きているとし、「IT投資額が大きいのでいろいろなプロジェクトにかかわることができるし、ITといってもいろいろな専門性が必要性なので、いろいろな種類のITの専門家が活躍できると思う」と話した。
金融業界での勤務経験のないBさんは業界に対するイメージを問われると、「すごくカタいイメージがある」と回答。そこで一村氏が「金融機関のシステムは社会のインフラですから、仕事の内容や進め方もカタくなるのでしょうね。そこをフィンテックの要素が入ることで、イメージもやわらかくなって、エンジニアも金融業界に入って来やすくなるかもしれませんね」と問いかけると、Bさんは「そうかもしれません」と返答。そのうえで、「セキュリティを担保しながら、スピードもってサービスをリリースしていかなければいけないのは、エンジニアにとってもやりがいがある環境だと思う」と付け加えた。
転職市場は大きな盛り上がり ITエンジニアの競争率は高い
その後はDODAのキャリアアドバイザーでITを専門としている長田悠城氏が登壇。「IT選任のキャリアアドバイザーが語る『ITエンジニアの採用に必要なこと』」と題して話した。
長田氏は転職市場の現状についてまず報告。各業界で転職マーケットが過去最大級の盛り上がりを見せているとしたうえで、金融業界でも求人案件や求職者が増えている状況を説明した。特に金融業界については、案件の伸び率が高いという。またITエンジニアは市場ニーズが高く、優秀なエンジニアは特に競争率が高いことを指摘した。
また多くの求職者が挙げている転職理由・パターンを4つに分類して紹介。エンジニアなどIT系の求職者の考え方として、「転職時点の年収の高さより、その会社に入って自分の能力がどれくらい生かせることができるか、伸ばすことができるかを重視する傾向が強い」などと話した。
イベントではこの後、質疑応答やネットワーキングが行われ、閉会後も人事担当者同士が情報交換を行っていた。インテリジェンスでは今後も定期的にFinTech関連の人材イベントの開催を予定している。( FinTech online編集部 )
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