クラウド上のドキュメント共有サービスとして急成長した「Box.Inc」の創業者アーロン・レヴィ(29歳)は、シリコンバレーで多くのベンチャーキャピタリストから天才と称されています。売上は2013年1月期 5880万ドルから2014年1月期 1億2400万ドルへと2倍に伸びています。顧客数は2014年1月末時点で22万5000社以上、フォーチュン500企業のうち99%で採用されています。2014年3月24日にニューヨーク証券取引所へのIPO(株式公開)を目指し、証券取引委員会に申請書を提出しました。
クラウド上のドキュメント共有サービスを展開する「Box.Inc」(カリフォルニア州)は、2014年3月24日にニューヨーク証券取引所へのIPO(株式公開)の申請をおこないました。2億5000万ドルを調達する予定で、調達資金はデータセンターの設備投資、営業、マーケティングなどに充てるとされています。2014年6月12日現在、株式市場の低迷を理由にIPOが延期となっていますが、IPOの予定に変更は無いとしています。(※ 4月は、米国株式市場は低迷していましたが、6月に入って、株式市場全体の株価は上がってきています。)
「Box.Inc」のクラウド上のドキュメント共有サービスの強みは、ビジネスユースでの高いセキュリティと使いやすさにあり、フォーチュン500企業のうち99%で採用されるなど、企業向けが主力で、企業向けのドキュメント共有サービスのデファクトとなっています。ドキュメント共有サービスでは、やりとりされるデータに対して最高水準の暗号化がなされ、7段階のアクセス権限が設定できます。また、ログ管理により、誰がいつアクセスしたかがわかります。最近の導入事例として、海外では、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、マカフィー、ゼネラル・エレクトリック(GE)、国内では、サンリオ、DeNA、三菱地所、早稲田大学などがあります。
一方、「Box.Inc」の弱みは、財務の脆弱性です。損失が、2013年1月期 1億1260万ドルから1億6860万ドルと増加しています。フォーチュン500企業のうち99%で採用なのですが、有料会員は顧客22万5000社以上のうち3万4000社程度に過ぎません。また、2014年1月に1億ドル調達したのですが、1月末時点で現預金が1.09億ドルしかありませんでした。キャッシュフローは綱渡りの経営と言えるでしょう。他方、楽観的に見ようとすれば、大企業の有料会員数が増加すれば収益が増大する期待があります。いずれにしましても、会社としては、IPOは必達目標なのだと思われます。数週間あるいは数か月以内にIPOが予定通り行われる可能性もあります。注目したいと思います。
【関連記事】
電通も提携、あのInstagramをも超えるPinterest(ピンタレスト)とは?
企業価値100億ドル超!?タクシー業界の黒船「Uber(ウーバー)」とは?
Photo from
Flickr