ドイツ銀行の信用不安の株価への影響

◆他の大手行との連動性が高い

IMFが6月のレポートで指摘したように、ドイツ銀行の株価の動揺は、金融業界全体の株価に対して与える影響度合いが世界で最も高い(図表11)。これは、財務的に不安視されていることや資産規模などが関係しているようだ。

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邦銀との関係では、MUFG、SMFGとのリンクが相対的に高いとされている(図表12)。但し影響度は他国ほど高くない。ドイツ全体に対する邦銀の与信額は12兆円程度で、過去数年概ね横ばいで推移している。

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その他の金融業界の不安要素:相対的には米国を選好するが全体に慎重継続

ドイツ銀行の問題は、大いに個別性が高いものの、当面は利益と資本の問題が燻り続けるだろう。これによって、業界全体の株価は影響を受ける可能性が高い。

しかも、金融機関を取り巻く事業環境は、1)日欧で超低金利が継続している、2)規制が厳しくなっており、世界的に銀行への規制や課徴金等が厳しくなっている、3)一部の国では資本や不良債権の問題が発生している、4)政治的にも選挙等で金融界に厳しい候補が当選する可能性がある-- といった不透明要因がある(図表14)。

これらの点から、世界の金融業界では、相対的には米国を選好しつつも、全体には慎重スタンスを継続する。

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大槻 奈那(おおつき・なな)
マネックス証券 チーフ・アナリスト

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